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目に映る限り

Written by Your Favorite Enemies. Posted in Outside It's America

これまで立ち寄ってきたアメリカの都市すべてで(そしてカナダで唯一、立ち寄ったトロントも忘れずに)、私たちは全く期待していなかった現実や、存在していなかったもの、もしくは、先入観から全くかけ離れたものへと目を開ける必要がありました…

シカゴでのライブハウス、Thalia Hallに到着しました。元々は劇場だった場所を、ライブ会場へと改造した場所です。私たちの家、スタジオ(とそれ以上に大きな意味を持つ場所)へと変身させた旧カトリック教会を思い出します。オーナーと素晴らしい会話をしました。ライブ会場としてちゃんと使えるようになるまで、どれだけ手を加える必要があったか説明してくれました。それについても、私たちの教会スタジオを思い出しました。ときに、普通に見えるものーもしくは、それよりも酷く見えるものーは、ほんの少しのヴィジョンと信念で、家と呼べる場所になります。このライブ会場や私たちの教会は、人としての私たちを完璧に表しているんじゃないかと思います…希望がすべて無くなっても、ほんの少しの閃きで、全く新しいものへと目を開くことができるんです…

シカゴは私たちみんなが楽しみにしていた都市でしたが、ロードイン、インタビューとスターバックスへ立ち寄るという義務(WiFiと、そして何よりもコーヒー!)のため、あまり周辺を歩くことはできませんでした。バンで市内を運転し、建物の写真などを撮りました。ライブの時間になって、人と出会うときになって、ようやくこの都市のエッセンスを味わうことができました!

そうしてショータイムです。バックステージでは、この会場のスピリットや、その夜の私たちのエネルギーについて話をした素晴らしい瞬間を過ごしました。この日あった出来事について話したり、会うのを楽しみにしている人たちについても話しました。MySpace時代に知り合った古い友人たちも来ることになっていましたが、実際に会うのはこの時が初めてだったんです…

そして何というライブだったんでしょうか!本当に素晴らしかったです!ライブ会場が家のように感じたからでしょうか。クラウドの中にファミリーがいて応援してくれてると分かっていたからでしょうか。もしくは、この瞬間を永遠にしたいと思ったからでしょうか。バンドメンバーはステージ上で、本当に素晴らしく、最高でした。毎回見るたびに、彼らはどんどん良くなっていきます。”今回は今まででベストなライブだ”と思っても、すぐに新しいタイプのステージ・ビーストとなって、どんどん進化していきます…!

長年の友人Feteshaが、ライブについてレビューを書いてくれました。ここから読むことができます。

次のライブはデトロイト。正確にはファーンデールです。ライブハウスは新しい建物で、角にはグリーンルームがあり、床から天井まで植物が壁を覆っていました。息を飲むほど美しかったです!私が思っていたデトロイトとは全く違うものでした。デトロイトという場所の噂とは少し異なり、このライブハウスThe Loving Touchに穏やかなオアシスを見つけました。

アレックスは少し日記を書く時間をとりました。今回彼の”日記”は、ドラモンビルの街へのオープンレターです。ドラモンビル誕生200周年記念の企画委員会は、”センシティブな耳を持つ人々が祝祭から逃げてしまうのを恐れた”ために、YFEを祝祭には呼ばないと決めました。このような決断にリアクションをとるのはアレックスらしくありませんが、“Your Favorite Enemies” と “fear”(恐れ)という文字が同じ文章の中にあることは、反応を示すのに十分な理由だったのです。アレックスのオープンレター「恐怖心が招かれざる者を祝福するとき」は、SFCCで読むことができます。

そしてライブは… WOW! 最っ高でした!このライブについては、ある話があります。長年の友人ですが、今回初めて会うこととなったHowardは、YFEのライブに来ることにしました。移動にかかる時間は3時間。しかし、その途中で車がエンストしたので、自分で車を押さないといけませんでした。約8キロほど車を押し、タイヤが徐々に凹んできました。しかし、フラットタイヤを修理してくれる場所がある出口まで何とか押し続け、そこでタイヤを修理して、今度は車を修理してくれる場所がある次の出口まで車を押しました。トータルで16キロも、道路で車を押しながら進んだんです。車の修理工場へ着き、事情を説明しました。すると、その修理工場の人が車を貸してくれると言ったのです!「明日の朝、持って帰ってきてくれればいいよ。それまでに車の修理は終わってるだろうし、そうすれば今夜のライブにも行けるだろうから」。1日のうち、どんなに色々なハプニングが起きても、人生には起こるべくして起こることがあるのだという、その証拠だと思いませんか?自分のいるべき場所、出会うべき出会いがあるのだという…!そして、Shandeeと彼女のお父さんと再び会えたことも嬉しかったです!2つの素晴らしい魂!Shandeeのお父さんは、もう何度もバンドを見ていますが、今夜のライブがこれまでで一番のライブだったと言っていました!私も完全に同感です!毎晩、演奏するたびに、どんどん良くなっていってるんです、本当ですよ!

そして、トロント。何事もなく国境を越えたあと、クイーン・シティに戻ってきました。あまり好きになったことがない街に。でも正直、今回はこの街を好きになろうと頑張る必要はありませんでした。2015年に入ってから、この街に対する印象がガラッと変わった気がします。以前は毎回トロントに来るたびに、ビジネスが絡んできていました。自分たちの価値を証明しなきゃいけないというプレッシャーがあったんです。でも今回は、すべてが違いました。それについて、”バックステージ”でみんなと話していたのです。ーというか、バックステージはなかったのでツアーバスの中でーステージに上がる前に、話していました!なんとなく、この街はどんどん意味深い街になっていっているような気がします。 悪い経験と結びついていようとも、それは徐々に消えていき、全くポジティブな経験に変わっていっているような気がします。

YFE本部からも数人、ライブを 観に来ました!“Outside It’s America”コレクションからのTシャツを着て、Marjo, Momoka, Kosho と Kanuはトロントまで足を運んでくれました!誇らしさが見えますか?もちろん、そう見えると言って良いと思います! 🙂 そして、彼らはライブにも夢中でしたよ!本当に!

また、今年1月にトロントで行われたJuno賞のプレスカンフェレンスで出会ったPaulにも、再び会うことができました。私たちが野球のーSFジャイアンツのーファンと知って、ジェフにプレゼントまでくれました。今このプレゼントは誇りをもってツアーバス内に飾られています! 😉 Go Giants! Paulもバンドのパフォーマンスのレビューを書き、The Canadian Music Sceneのために撮った写真を公開しました。全てここから見ることができます!

アレックスもチャレンジを遂行して、トロントにてSFCCフラッグとともに写真を撮りました。サプライズで私たちに会いに来てくれたファミリーメンバーの人たちと、このチャレンジを遂行することができました!本当に素晴らしい瞬間でした…前回のアンコール(ここから観れます)でトロントを引いたときのアレックスのリアクションをずっと忘れないだろうと思います。

そしてライブ自体は…とっても素晴らしい瞬間でした!きっと満場一致でそう言えると思いますー忘れられない瞬間を作ってくれました!バンドを聞いたことがあろうとなかろうと、あの場にいたすべての人にとって記憶に残る瞬間だったと思います… 🙂

ジェフ、ミス・イザベルとムースは、ステージに上がる前にとてもインスピレーションに溢れるインタビューも行いました!下のビデオでインタビューを観て下さい 🙂

この日の夜は変な感じでした。再び国境を越えるのです。この夜は、色々なナンセンスが飛び交いました。他でもないセフ(もちろん、他に誰がいますか?!)から!それが何だったか気になりますか?アレックスがSFCCにアップしているツアー日記の中でシェアしますよー私を信じて下さい。ここには逃せないものが色々とありますから!

そうしてピッツバーグのライブ会場に着きました。すべてが灰色と茶色の街。ライブ会場は旧教会(通りの向こう側にはまた別の教会があります)でした。何となくまだ建設中のようで、一瞬見た限りではすべてが冷たく見え、周りからも少しずれている感じがしました。天候や建物の色や、通りに誰もいなかったせいかもしれません…

バックステージでは乾杯をしました。目に見えない色への乾杯です。そして、周りを囲むものが何だろうと、自分たちの色を与えることへの…それまでこの街から受けた雰囲気にふさわしい乾杯でした。どこをとっても印象に残らない街、ですが、それを特徴づけるのはそこにいる人なんです。

ツアーに”欠かせないもの”がこれです。ジョニー・ウォーカー・ブラックで、時々ライブの前や後に乾杯します。そして、チップスにつけるための“salsa con queso”。ツアー中、ヘルシーな食事を心がけますが、簡単じゃないんです。そして自分が持つ力以上に全力を注いだライブのあとは、美味しいセロリのスティックもチップスには勝てないんです 😉

ライブは街のイメージと似ていました…何となく、距離があって冷たい感じ。それでもなお、とても良いライブでした。何かが欠けているという印象にも関わらず…でも、そんな思いはバックステージに集まって、曲中でのお気に入りの瞬間などについて話したり、撮ったばかりの写真やビデオを観ているうちに、すぐに消えました!

翌日はブルックリンで目覚めました。ここは、アルバム『Between Illness And Migration』がミックスされた場所なので、バンドにとって、とても意味深い場所です。この旅の歴史において、重要なスタンドポイントとなったのです。また、NYCのどこへ行こうとも、ブルックリンに留まりますーこの街には意味深い理由が色々あるんです。ここには人がたくさんいます。NYCに戻ってきて、これこそ他の街に欠けていたものだと思いました…目に映る限りの人。どことも言えないような場所の陰った路地にいようとも、人に会います。そういう場所に本当の人生があるんです;人々の中に。みんなそれぞれ違う、ユニークな人々が、すでに響き渡っている街に独自の色を与えています。そして、めちゃくちゃになるのではなく、それがハーモニーとなって混ざり合っているんです…

私たちはいつもRough Trade Recordsに立ち寄ります。そして、その近くにはマンハッタンが望める公園があります。この眺めを何度見ようとも、畏怖の念を抱かずにはいられません。そう、ニューヨークはすべてが可能な街…そこで見つける成功が、想像したものと違っていたとしても。すべてが可能なのだと認めざるを得ない場所です。街全体が”可能性”というものに逆らっています。それを外から眺めるとき、その理由が簡単に分かります。外から見ると、ニューヨークはレゴで造られた建物のようです。それを積み上げる人々は、常により大きなものを探していますー建物の高さは、自分が探し求めているものとは何の関係もないんだと気づくまで。彼らが本当に探し求めているものは、建物の下深くに埋められているんです。

この夜は、ジョン・アグネロとも会うことができました。アルバム『Between Illness And Migration』をミックスしただけでなく、可能だと思っていなかったサウンドの地平線を開かせてくれた素晴らしい人物です…

とても遅くに始まるライブでしたが(深夜にステージに立ちました)、激しさいっぱいの瞬間でした。アレックスはクラウドサーフィンをし、ドラムは最後フロアで終わりました。上の写真からはほとばしる汗が見えると思います 😉

そして、ニューヨークはLe Poisson Rougeでのライブ。ジェフ、ベン、アレックスが一緒にいる姿は、サウンドチェックやライブ前によく見る光景です。ジェフは、ライブ前にケリをつけなければいけないビジネス関連のことを携帯で対処します。ベンはライブを録音するかしないか、ステージでイヤモニをミックスすることができるか、その可能性について自分の考えを話します。そしてアレックスは会場の雰囲気に浸るんです…

11夜連続の、これが9夜目でした。疲れ切っていたという表現でさえ、柔からく聞こえます。そんなものではありませんでした。しかし、YFE本部からはたくさんのクルーが駆けつけ、ケベックやオンタリオからもサプライズで来てくれた人たちがいました。プラスして、このライブはSFCCで生中継される予定だったんです。そのアイディアだけでも、その後来る夜に対して、メンバーを熱くさせました。そして、何というライブだったんでしょうか!こんなバンドを今まで見たことがありません。メンバーは熱く燃えていただけでなく…彼らの心にあった炎は、これまで見たことがないものでした。本当に最っ高でした!このライブに来た誰もが、それを証明できると思います。そして、このライブをオンラインで見たSFCCの皆さんも!

他のフォトグラファーが撮った写真がここここで見られます – 写真を見るために少しスクロールダウンして下さいね ;)。

そうして、ボストン…色んな文化が混ざったとってもカラフルな街…ベツレヘムというのは実は韓国料理屋さん、オッパ(韓国語)はお寿司屋さん、そして“kebabs”(ケバブ)のスペルを“kabobs”(ケボブ)と書いていました。一つだけ何ともミックスされていないのは、人々のレッドソックスに対する愛でした。どこを見ても、有名な赤い “B” の文字が、キャップやTシャツ、パーカーやワピースにまで付いていましたーどこにも逃げ場所がないくらい!ステージが下に見渡せる、とても暑くて湿度の高いバックステージでストレッチしたあとは、バンドがステージに立つ時間…!

ライブは最高でした。本当に文字通り。たいてい、バンドメンバーはライブの出来に満足しますーそうじゃない時は簡単に分かります。でも今回は、本当に燃えてました!あの場にいた誰もがそう感じたと思います!いつもと同じ長さのライブでしたが、誰もがいつもより短く感じたと言っていました!この50分は本当にあっという間でした。そして、私が覚えている限り、メンバーが”ネガティブなポイント”を見つけられなかったライブですー正すべきところも、改善すべきことも、変えることもない。完璧なライブだったようですーそして、もちろん来てくれた人たちも、まさにそのように経験しました!

このブログはもうだいぶ長いのですが、皆さんに見せれるだけ、見せたかったんです。次回のツアーブログは数日後。フィラデルフィアでのライブと休日、そしてワシントンDCでのライブについて書きます! 🙂 楽しみです!:)

– Stephanie

ケベックシティ、忘れられない一夜

Written by Your Favorite Enemies. Posted in カテゴリーなし

今夜のライブで何を期待して良いのかわかりませんでした。1月にYFE本部で共有した時間のあと、再びあのような感情を味わうのは正直難しいのではないかと思ったんです。Your Favorite Enemiesにおいて、瞬間は本当にその”瞬間”だけ。二度と戻ってきません。これについては良く知っています。彼らと一緒に住んでいるだけでなく、私はツアーにもついて行きますから。そして今回は、正直言って、何を期待して良いのか分かりませんでした。私は、この日のためにリハーサルしてきたバンドを見ています。これまでにないくらい、その時の瞬間へと自分をさらけ出し、今回のライブも一生に一度のものだと確信をしていました。でもライブ当日、私はある気持ちを振り落とせずにいたのです…もしもライブがYFE本部で行ったものに匹敵しなかったら?前回のライブに参加した人が今夜のライブに満足しなかったら?それが周りの人にも影響したら?そして、当日の朝ケベックシティへと出発したときも、この不安はまだ私の中に残っていました。私の頭の片隅にあり、はっきりとは見えないけど、確実にあると感じざるを得なかったのです。ケベックシティに到着してからは、インタビュアーがもう既に待っていたので、急いでコートを脱ぎ、すぐさまインタビューを行いました。

午後の予定はこんな感じです:インタビューとサウンドチェック。全てスムーズにいきました。とってもスムーズに!すごく良かったので、心にあった疑いがいつの間にか消えていました。私の心にあったのは唯一、今夜のライブへの興奮だけ。サウンドチェックが終わり、インタビューも終わりに近づこうとした頃、ライブ会場に人が集まり始めました。会場への扉が開くまでにはあと一時間ありましたが、建物のドアはもう開いていたのです。徐々に、ワクワクしていきました。YFEのクルーたちは会場近くのレストランで、ライブ前に集まってくれた60人もの人たちとディナーを楽しんでいました。それを見て、今夜もきっと大丈夫だと思えたのです。こんな不安を抱くなんて、きっと私だけだったでしょうね。人がライブに来るときに期待することはパフォーマンスを見ることではなく、その瞬間を生きることですから。

そして、その瞬間がようやく来ました…バンドがステージに上がる時間。会場内に流れていた音楽が止まり、部屋は暗くなり、バンドメンバーの背後に映るプロジェクションとともに、1曲目が始まりました!最初の 2曲は、テクニカルな面において、いつも大変なんです。ストロボライトの演出で、タイミングが合わず写真は真っ白か真っ暗。なので、いつも最初はあまり写真を撮らずに、その瞬間を少し楽しみます。でも、その数秒間だけでも、今回のライブが他と比べても、YFE本部で行ったライブと比べたとしても、引けを取らないだろうと確信しました。とてもユニークな瞬間になると思ったのです。でも、それがどれくらいのものかは、全く予想できませんでした。私は自分の感情をあまり表に出すタイプではありませんが(というか少なくとも、隠すのは上手いと思ってます!)、この日の、この瞬間は、何も気にしませんでした。その瞬間は、私と音楽だけでした。まるで、誰も、何も周りにないかのように。もしくは、自分の周りに300人の人がいたと分かっていても、全く気にしませんでした。ステージ上での解放のレベルや、曲をインプロで行い、リハーサルと全く違うことをする彼らに、私はふいをつかれたのです。もちろん、私のカメラとともに。だけど、主には私の感情が!そして、クラウドを見渡しました。何時間もかけてここまで来てくれた人、飛行機が怖いのに意を決して初めて乗って、私たちに会いに来てくれた人、この週末のためだけにUKからサプライズで来てくれた人、何時間もかけて運転し、このユニークな時間を共有しに来てくれた人…。体調を崩してるのにも関わらず、足を運んでくれた人や、「YFEがどういう人たちで、ライブ前やライブ中、そしてライブ後に分かち合う瞬間を見せたいと思って」恋人や家族を連れて来た人たちなど…私たちはみんな違いますが、みんな同じです。私たちが欲しいもの、本当に必要としているもの、それは自分の居場所を見つけることであり、家と呼べる場所を見つけること。愛されていると感じる場所を見つけることです。それがYFEの瞬間の全てなんだと思います…それぞれの理由と、それぞれの方法で、この夜、私たちは家を見つけました。

カメラを持ち直して、写真を撮り続けたことを少し後悔しています。たとえ、解放という感情が今も私にとって未知なるものだったとしても、そういう感情が最初は怖かったとしても、真実に他ありません。そして、これを書いている今も、その感情はしっかりと残っています。Your Favorite Enemiesのライブは本当に素晴らしい経験です。あなた自身もそれを経験できる 日が来ると良いのですが。あなた自身の感情こそ、私が伝える言葉よりも大きな声となるでしょう。そして願わくば、私の心に響いたものと同じコードがあなたにも響きますように!このライブは再び、未知なるものへと飛び込むことの大切さを見せてくれました。疑いによって自分を止めることはしちゃいけないんです。結局、私たちは後悔するには若すぎるんですよ 😉

– Stephanie

大惨事がミラクルに変わるとき

Written by Your Favorite Enemies. Posted in カテゴリーなし

始まりは大惨事でした。本当の。午後2時頃、ドラモンビルからケベックシティへと移動中、今回のライブ会場であるはずだったThèâtre Petit Champlainに全く電気が通っていないことを知りました。去年の8月から告知をし、カナダ全国だけでなく、アメリカ、フランス、ドイツ、日本やオーストリラリアの世界中から、人が集まったライブでした。長距離電車、フライト、ホテルでの宿泊…そのワクワク感はいつもとは比べものにならないくらいです。なのに、ライブがキャンセルになったと伝えなければならないのでしょうか?そんなことはできません。バンドはティム・ホートンズに立ち寄りました。こんな時は、どこへ行ったって心が晴れないものです。喉を潤すためというよりも、そうする必要があったのでコーヒーを頼み、テーブルに座って、自分たちに何ができるかを分析しました。自分たちにできることは、そう多くありませんでした。違うライブハウスを借りたかったのですが、それは不可能でした。ライブをキャンセルせざるを得なくなった場合、他のライブハウスでも演奏はできないという条項があったのです。どこか皆で集まれるような部屋を借りようかとも思いましたが、古いケベックの街では全てが小さく、今夜来る予定だった300人ほどの人数が一度に集まるのは無理がありました。そこで、アレックスは突拍子もないアイディアを思いついたのです。YFEが所有する教会でライブをすること。でもライブができるくらいパワフルなスピーカーがありません。なのでレンタルすることにしました。皆は移動のための車を持っていません。ケベックシティからドラモンビルまで、行き帰りができるようバスをレンタルすることにしました。でも、やっぱりめちゃくちゃなアイディアです!時間までに全てを準備できるでしょうか?どこで皆をバスに乗せたら良いでしょうか?ライブをすることを内緒にしながら、どうやって皆に情報を伝えたら良いでしょうか?私は何をしたらいいか、何を考えるべきか分かりませんでした。というのも、私たちの教会に人を集めてライブをすることは、いつかやりたいと願っていたことです。5年前に教会を購入したときから、私たちが抱いていたヴィジョンでした。マージョは、”今夜、運転手付きの大型バス”をレンタルするために、バス会社に電話をし始めました。ベンは、”今夜、スピーカーを家まで届けてくれる(閉店までに取りに行くのは無理だったので)ところ”を探して、ミュージックストアに電話をし始めました。無茶苦茶です。ライブから数日経った今でも、無茶苦茶だったと感じます。私たちは家にいた人たちに電話をして、準備を頼みました:皆へのドリンク、クロークルームの設置、皆がブーツを脱げる場所の確保など。そして、一部のバンドメンバーとクルーが家へと戻る中、ジェフ、ミス・イザベル、マージョと私はケベックシティへ行きました。ライブ前に集まる予定だったレストランにて、ライブのキャンセルを伝えるために…。でも心の中では、誰も予想していないだろう方法で皆を驚かせることができると、ワクワクしていました。私たちは軽く挨拶を済まし、ジェフがアナウンスをしました。このニュースに多くの人ががっかりしました。遠く飛行機に乗って来た人たちや、家から長時間かけて移動してきた人たちは、メール等にアクセスができなかったため、この時まで全く知らなかったのです。みんな信じられませんでした。信じたくありませんでした。どこかに隠しカメラがあって、冗談を言っているんだと思ったくらいでした。でも、真剣なままのジェフの顔を見て、皆それが冗談ではないことを知りました。そこで爆弾を落としたのです。”でも!僕らは大型バスをレンタルしたから、それに乗ってYFE本部のあるドラモンビルへ行き、そこでライブを決行するよ!” 拍手喝采にヒュ〜と言う口笛、私はみんなが泣くんじゃないかと思いました。このニュースで部屋の空気は一気に活気溢れるものに!それがどれだけ魔法のようになるのか、この時はまだ知りませんでした。私たちはバスに乗り、モントリオールへとバスを走らせました。

移動中、私は家で全てを準備していた人たちから、たくさんのテキストメッセージを受け取りました。皆がどんなリアクションをしたのか、何を話しているのか、全部うまくいっているか…そうして、私はあるテキストを受け取ったのです。”今からやろうとしてることは自殺行為だ” そして私はまた不安になりました。今夜自分たちの望むように本当にできるんだろうか。あらゆることに対抗している気がする…。だって、ここ数週間で、セフはサッカーボールを受け取ったときに小指を折り、そのせいでライブをキャンセルすべきかと考えたくらいだし、そしたら当日になって地下爆発のせいでライブハウスの電力が全てカットされてしまったし…。ここのライブハウスがショーをキャンセルしたのは、50年ぶりだそうです。50年ですよ!何でそれが私たちのライブなんでしょうか?このライブは起こるべきではないのかも?ただおとなしく、楽しくみんなと時間を過ごすだけにした方がいいのかもしれない。でも、せっかく機材も、バスもレンタルしたのに?ライブのキャンセルが知らされたときの、ジェフの怒りようを思い出しました。”みんな音楽のために来たんだ。どこへ行っても経験できないようなこの交流のために。だから僕らは音楽を届ける。それ以外にない。わかったか?” ジェフの言葉が、どんどん不安になっていく私の頭の中で響いていました。そして私はiPhoneから目をそらし顔をあげ、バスの中にいるみんなを見渡しました。数分前まではお互いを全く知らなかった人たちが、今では長年の友人かのように楽しく話している、この興奮。それは直接、音楽の力によるものではありませんが、彼らの間には音楽という架け橋が存在します…そうして私はもう疑うのを止めました。今日は、YFE本部で演奏される音楽を通して、さらなる奇跡が待っていると信じました!

家に着き、急いで中に入りました。私はある重要なものをまだ手に持っていたのですー今夜のセットリスト 😉 下へ行き、ブーツを脱いで、今夜ライブが行われる教会の大広間、Upper Roomへと向かいました。そして、その光景に私は言葉をなくし、涙が溢れてきました。そうです。今夜は絶対に奇跡を見るに違いない!そう確信しました!

午後11時、私はマイクを握って、バンドを紹介しました。今夜のことは内緒にしていてほしいことと、ライブ中はカメラや携帯をカバンの中に閉まってほしいこと。今夜、この瞬間は彼らのためでした。カメラを通してではなく、音楽を最大限に感じて欲しかったのです。フィルターなしに、ありのままの瞬間を体感し、その瞬間が導く解放を感じて欲しかったのです。いつもライブ会場で音楽を楽しむような方法とは違うかたちで、思い切り音楽を体験して欲しいと思ったからでした。

そして何というライブだったんでしょうか。そこは教会ではなく、ある一つの世界そのものでした。個々にライブを見ているのではなく、皆で一体となっていました。まるで時間が止まったかのよう。あの瞬間には、この特別な交流以外、何も存在していないかのようでした。まるで他に大事なことなど何一つないかのように。クラウドの外から写真を撮っていた私にとって、その光景はまるで映画のようでした。こんなことが実際に起こるなんて有り得ない。これが本物だなんて有り得ない。そして、“From The City To The Ocean”の曲中、カメラを通してではなく、自分の目でその光景を見たとき、こう感じずにはいられませんでした。”この雰囲気、この空気、今この場で起きていること…これこそ、私が今もここにいる理由。今の私をつくっているもの。今ここで起きていることがまさに私が生きている理由。生きているとはどんな感覚かを知っている理由。そして、だからこそ私が海から街へと歩き出した理由。憂いと変遷を旅し始めた理由。” この夜この場にいられたことへの感謝で、だんだんと涙が目に浮かんできたとき、私は皆さんのことを想いました。私たちの物語がどれだけ普通じゃないものか。どれだけ奇妙な出来事によって、私たちが互いと出会い、知り合い、家族や兄弟、姉妹と呼ぶのを妨げたか。私たちを互いに一つにしたのは音楽ではありません。偶然じゃないんです。そんなものよりも、もっと素晴らしいもの。一生かかっても理解できないだろうことであり、理解する必要もないこと。それこそ、私たちが受け取れる最も美しい贈り物じゃないかと思うのです。そこに理解は必要ない。ただシンプルに生きればいいだけ。そして時々、それを最大限に生きることは、自分たちの頭で考えていることと真逆のことだったりするんです。もしも、それが私の印象だけだったとしたら、私は今ここにおらず、誰とも出会っていなかったでしょう。そして、私は今夜の奇跡が、全員をYFE本部に連れてライブをすることではないことに気づきました。本当の奇跡は、私たち全員が一緒にいたこと。バンドメンバー、YFE本部で一緒に生活をしている私たち、そして私たちと一緒にいたあなた。あの夜起きた本当の奇跡は、私たちです。きっと、あの夜、何が起ころうとも、何を感じようとも、何を経験しようとも、そう感じることができたでしょう。そして、これは何か新しいものへの始まりにすぎないのです…

熟睡とは呼べない、寝不足気味な夜を経て、翌日はまたケベックシティへ向かい、来てくれた人たちと一緒にブランチを楽しみました。みんな疲れ切っていたはずですが、それでもその疲れを誰からも感じませんでした。反対に、みんなの笑顔や笑い声が響いていました。いつものように、食事はあまり重要でないんですね。この時間はみんなで一緒に過ごすことについてでした…写真を撮り、アルバムや本にサインをしたり、前夜行ったライブについて話したり、今後起こりうることについて話したり、私たちのパッションや恐れなどについても…何のフィルターもなしに、互いに正直に会話をしました。このブランチは2時間の予定でしたが、結局その2倍の時間を過ごしました。太陽が沈みかけていなかったら、そして古いケベックの街を歩きたいという希望がなければ、まだまだ喋り続けていたと思います!結局、私たちにとっては全てが始まりに過ぎないのです…

そして最後に、こんな夢のように素晴らしい週末を過ごしたあと、現実を最大限に経験することは自分が夢見るどんなものよりも素晴らしく、人生で直面するいかなる惨事も最高の出来事に変えることができると確信を持って言えると思います…

モントリオール、あらゆる不思議のある街

Written by Your Favorite Enemies. Posted in カテゴリーなし

2年振りにモントリオールでライヴをしました…ここ2年間、ヨーロッパ、中国、台湾、日本、オーストラリアなどをツアーしてまわり、更には日本、オーストラリア、カナダでのアルバム『Between Illness And Migration』の発売、そしてこのアルバムに収録されている3曲のビデオクリップ撮影などに多くの時間を費やしてきました…息切れしそうですか?私たちもです!でも、このホームギグは私たち全員にとって、新鮮なそよ風のようで、頭と心の憩いの場所のように感じられました(体にとっては、あんまりだけど)!

私たちは皆この夜のライヴにオーバーなくらいワクワクしながら、午後ドラモンビルを出発しました!Club Sodaに到着し、そこで働くスタッフに会いました。すごく良い人たちでした!ロードインは午後6時頃から始まり、その後すぐに短いサウンドチェック。バンドメンバーが下の階にある控え室に向かったときには、もう人々が会場に入り始めていました!メンバーはストレッチをし、着替えをし、厳しい時間制限のあるライヴに関して少し話しをして、私はその夜のライヴハウスをソールドアウトした950人もの人混みの中で、ステージに近いスポットを見つけるために上の階に行きました。

私は知らない人たちや見たことのない人たちに囲まれながら、早く始まらないかとドキドキしながら待っていたのですが、そんな中、YFEを確実に知っていて、バンドのライヴを見るのをとても楽しみにしている人を見つけました!“マジだって、1回ライヴ見たことあるんだけどさ、シンガーはクレイジーで、常にそこら中ジャンプしまくって、長髪のギタリストは野獣みたいなんだ…コイツらはヤバイって!”という声が聞こえたんです。その通り!まさにステージ上でのYFEです!イントロが始まり、バンドメンバーがステージに現れました。薄暗い照明の中で見えるのは彼らの影だけ。まるで違う世界からのゴーストのよう… バンドは、セフがバイオリンの弓でギターを弾く“A View From Within”でショーをスタートしました…そして次々と演奏をし、とどまるところを知らぬような40分間のショーをオーディエンスと共有しました。そして、オーディエンスもまた、会場全体が揺れるようなヘッドバンギングでバンドを歓迎したのです!“Midnight’s Crashing”のときに、アレックスはクラウドへとジャンプし、そのまま会場の後ろの方までクラウドサーフィンして、ステージへと戻ってきました。また少し後に、クラウドの中を今度は歩きながら、人々をハグして、彼らのために、そして彼らと一緒に歌いました。セフの演奏に人々は叫び、彼がステージの際に立って近づく度に、彼らもどんどんセフの方へと近づいていきました!“Open Your Eyes”もすごく盛り上がりました。バンドを長く応援してくれている人にとっては、初期の曲です。言うまでもなく、この曲が始まってすぐ、ライヴハウスの熱は一気に上がりました!!バンドはライヴを終え、荷物を片付けはじめました。この2年間、なんでもっとモントリオールでライヴしなかったんだろうと不思議に思いながら!

そして今夜、最高のパート…みんなとの時間!この瞬間こそが、毎回のライヴの本当のギフトであり、特権です!皆さん、本当にどうもありがとう…この夜、私たちは空高く飛ぶことができました。それは皆さんのおかげです。思い切り楽しむというチャンスを掴み、私たちと一緒にこの瞬間を分かち合ってくれました!

また皆さんに会うのが、待ち遠しいです!

Stephanie

Your Favorite Enemies トロントCMWにて…

Written by Your Favorite Enemies. Posted in カテゴリーなし

バンドは5月5日から6日にかけての深夜に、中国からモントリオールへと帰ってきました…そして24時間後、私たちは再びトロントへと出発したのです。今回はCMWでライヴをするためでした。中国ツアーのあとは、体も疲れ果ててボロボロになっているだろうことは分かっていたので、CMWに参加することは少しクレイジーなアイディアでした。それでも、CMWは毎年恒例の行事であり、いつも楽しみにしている大好きなYFEファミリーの集まりです!なので、今年も例外ではありませんでした!私たちはみんな時差ボケで、体調を崩していましたが(今もです!)、そんなことは気にしませんでした。このファミリーの集まりが最も大切なことだったんです!

私たちはダウンタウンを少し訪れ、レコードショップに立ち寄りました。時間が経つのは本当に早く、最初のミート&グリートがThe Ballroomというスポーツバー/ライヴハウス/ボーリング場で行われました。そこでは、カナダ国内至るところから、そしてアメリカ、UKからも人々が来てくれました!更に嬉しいことに、TVスクリーンにはHabsの試合(アイスホッケー)が映っていました。トロントで、大好きな人たちと、Habsの試合を見ながら、バーガーを食べる。みんなと過ごす最初の夜を、これ以上“カナディアン”にはできなかったでしょう… 😉 とてもシンプルな夜、シンプルな瞬間でした。ファミリーの集まりがそうあるべきなように!でもこういうシンプルな瞬間が、最高の瞬間なんです!

そして翌日、バンドはそれぞれ別行動しました!ジェフは1日中ビジネスミーティングに出席し、ムースはフェリーに乗って皆とトロントのアイランドへ、そしてアレックス、ベン、セフとミス・イザベルは家に留まり、明日のアコースティックコンサートのリハーサルをしました!どれだけ感情を込めているか、どれだけ自分たちの音楽に自らを注ぎ込んでいるか!彼らのリハーサルを見るのはいつも魔法のようです。

そして私たちがみんな時差ボケになっている間、YFEファミリーのみんなは、夜にカラオケを楽しんだと聞きました!たくさんの写真やビデオが撮られました…Facebookで見つけられると思いますよ!

そして遂にこの日です!1日に2つのライヴ…Steve’s Music Storeでのアコースティックライヴと、Hard Rock Caféでのフルバンド、ロックライヴ!この日はとても天気が良く、バンドは店の中から歩道に向かって演奏することができました。このような形でライヴをしたのは初めてです。そして、とても素晴らしい経験でした!音楽と太陽。最高ですよね。1年以上バンドのライヴを見ていないファンがほとんどの中、トロントのダウンタウンのはつらつとした雰囲気に、人々の熱狂が加わりました。そして、そこにYour Favorite Enemiesのパッションが混ざり、この瞬間をこれからずっとずっと忘れないものにしてくれました。

そして私たちはHard Rock Caféへと向かいました。サウンドチェックをするつもりで行ったのですが、結局できませんでした。でもそこに戻ることで、色々な思い出がよみがえってきました。というのも、数年前同じ場所でライヴをしたのです。そして、早めに着いたこともあって、SFCC(バンドのファンクラブ!)のイベントとして行われるこの夜のライヴ生中継の準備をしっかりとセットすることができました。今回は最初から最後まで、ライヴ全てが生中継されたんです…!

そして今夜のライヴ…この夜に起きたこと全てに、言葉を当てはめるのは難しいです。シンプル且つマジカルな夜。もしも言葉を見つけることができたとしても、この夜のライヴを本当に描き出すことはできないと思います。この夜はライヴ以上のものでした。ステージで6人が演奏する以上、そしてオーディエンスが共に交流する以上のものでした。この夜は本当に“Upper Room”な経験でした。それぞれ個人としても、あの場にいた全員としても、その全ての意味において。

そして最終日の朝…またみんなとの特別な時間です。別れを言うのが、簡単になることはありません。反対に、別れの言葉を言えば言うほど、本当に離れるのが難しくなっていきます。このような素晴らしい人々に囲まれる私たちは、とても恵まれています。よく、シンプルな瞬間こそ最高の瞬間だと言いますが、この日の朝は、それが真実であると証明しました。大好きな人々に囲まれながら、ありのままの自分でいることほど、最高のことはありません。

– Stephanie