HOLD ME TIGHT

[2007年9月29日ドイツ、ベルリン、Magnet Clubでのライブ音源]

今日の視点で見る昨日の曲

正直さの重み

by Alex

初めてのYFEツアーで立ち寄ったどの場所も、全てが新しく、インスピレーションに溢れるのと同じくらい、僕は凄まじく恐ろしかった。ツアーバスが、その夜の会場であるMagnet Clubの横に停車した時、ベルリンの空はどんよりと曇っていた。その夜のチケットはソールドアウト。まだ時間が早かったから、僕は散歩に出た。今となっては、どこへ行くにしても、ステージ前の散歩は欠かせない習慣になったよ。この日のイメージは、天気と同じくらい霧がかかってるけれど、感じた気持ちは今でも鮮明に覚えているんだ。興奮していたけれど、心に迷いもあった…「僕はここで何をしてるんだ?」ってね。通りを歩いていると、“人生が恐ろしく感じたら、守ってあげるから入ってきなさい”っていう反人種差別のステッカーがドアに貼ってある小さなレストランを見つけたから、立ち寄ったんだ。僕は決定的に恐れを感じていたけど、それは人でいっぱいになったライブハウスで、数時間後に経験するかもしれない失敗の可能性についてだった。とてもフレンドリーなお店の人たちのおかげで、僕は彼らとの会話に集中することができたよ。本当にすごくいい人たちだったから、その夜のゲストリストに加えたんだ…ベルリンで友達ができたって思えるだけて嬉しかった!

この会場でのライブで一つ特別な思い出があるとしたら、僕にとっては「Hold Me Tight」に関係することなんだ。これまでツアーに出ても、この曲はあまり演奏してこなかった。多分、当時の他の曲と合わなかったからだと思う。特にこの夜、このライブで次々と僕らが”ぶち壊していった”他の曲たちと比べると、あまりにも違いが大きかったんだ。「Hold Me Tight」を演奏し始めてすぐ、雰囲気がガラッと変わったから、やっぱりこの曲はスキップするべきだったと思った。でも、当時は持ち曲も少なかったから、やるしかなかったんだよね。そんな僕の不安をよそに、この曲のあいだ、人はみんな目を閉じて、ゆっくりと左右に体を揺らしていた。ゴス系の人からメタルヘッドの人、パンク系から、スーツを着た人まで様々に違う人たちが、それぞれに思いを巡らしながらも会場全体が一つになる感覚は、すごく感動したよ。たとえ、今後この曲を歌い続ける自信もなければ、バンドメンバーにそうしようって言う勇気もなかったけど、この時の経験で気づいたんだ。僕が”ヘヴィーな瞬間”と呼ぶものを定義するのは、どれだけ高くジャンプしたかでも、どれだけラウドに叫んだかでもないってね。正直なほどに重いんだ。本物であるほどに重いんだ。目を閉じて、音の波に身を任せられるほどに重いんだ。誰もが浸れるほどに純粋であるほどに重いんだ。希望ほどに重いんだよ。

だから、たとえ「Hold Me Tight」をその後に演奏したのが5回にも満たなかったとしても、この曲は、失敗を恐れる心に左右されない勇敢な瞬間の中で告白できるだけ、僕の祈りと囁きが”重く”なった瞬間だと思っているよ。

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ツアーバス・コンフェッショナルより抜粋

ベルリン初日

(2007年9月30日に書かれたブログ)
by Moose

エンジンが鳴る音で目を覚まし、狭いツアーバス内の通路からは、声を落として道を譲り合うみんなの声が聞こえる…僕らはベルリンに着いた。そして、Alexが朝一番に抱いた疑問:「僕ら閉じ込められてる?」そこは4つの壁に囲まれていて、金属フェンスがあり、全てが薄暗くて、壊れかけていたんだ。けど、実際そこはライブハウスの裏で、ちょうどリノベーションしている最中だった。閉じ込められてるなんて不安に思うのは、毎日、感情的にも肉体的にも激しい時間を過ごして、疲れているせいだろうか?どうだろうね。ただ、そんな発想が面白かったんだ。

ゲットーのような見た目の駐車場を出て、次はインターネットカフェを見つける時間。そこで、ファミリーたちと連絡を取り合い、街や人の雰囲気に触れる。そうして、Marco Hinze gastronom & bibliothekarという場所を見つけた。そこで数時間を過ごしたから、このカフェをまるで家のようにくつろげる空間にしてくれたCarolynと友達になることができたよ。

その日の予定も組んだ…誰が何をして、どのビデオを撮影するか。そして何よりもYFEドイツ・コミュニティの友人たちとのランデヴーに向かう準備をしたよ。

また数時間が過ぎ、今は午後3:30。ライブハウスに戻って、サウンドチェックの時間だ。でも、今日はベルリン・マラソンの日だったから、路面電車がほとんど走っていなかった。だから、20分かけてライブハウスに戻ったよ。雨の中をね!

午後11:30 ライブの準備をする時間だ。誰もが同時に今日何をしたか、これから来る時間への興奮を話している。バンドの楽屋へ向かう途中、人でいっぱいの会場をちらっと見て、Rumble in Rhodosがパフォーマンスしているのを聞いた。これまででも一番ロッキンなレスポンスをしてくれる素晴らしい観客だったよ。

午前1:00 YFEのステージまであと数分。Ben、Jeffと僕は楽屋内でジャンプして、お互いに戦うフリをしていた。僕らなりの体と心のウォームアップなのさ。ステージへ上がる5分前、僕らは円陣を組んだ。バックステージのカーテンが開き、さぁ時間だ、たくさんの目が僕らを見てる…好奇心に溢れた目、疲れ切った目、情熱に溢れた目、そのどれもが何かを探し求めていた。ボリュームを上げて、最初の曲の始まりだ。最初から観客は夢中になって、僕らは彼らに導かれたようだったよ。フロアが揺れているのを感じたし、モッシュピットやボディサーフィンする人もいたし、歌詞を全部覚えていて、一緒に歌ってくれた人たちもいた。最高にロックしてたよ!そしてライブ後もすぐに、彼らと話をすることができて、素晴らしい時間だった。

午前6:00 バスへ戻っても、なかなか興奮が収まらなくて、初めてのドイツ風邪にやられていたBenとSef以外は、誰もベッドに行こうとしなかった。午前7:00までずっと話していたよ。その5時間後、バンクベッドのカーテンが開き、ベルリン2日目の朝を迎えた…でも、Alex、BenとJeffはどこ?全く、彼らはクレイジーだ!

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