Rock My World Canada, チャプター30: Your Favorite Enemies

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[Mike CarrがCanadian Alternative & Indie Reference and Collector’s Guide(カナディアン・オルタナティブ&インディ・コレクターズガイド)と題してカナダの音楽の歴史を一挙にまとめたんだ。何百ものバンドが連なる最高のディスコグラフィーだよ。彼の本の抜粋は以下の通りさ。ーAlan Cross]

Your Favorite Enemiesは、2006年にヴァレンヌで結成されたオルタナティブ・ロックバンド。バンドは現在、拠点をドラモンビルに移し、自らスタジオにリノベーションした旧カトリック教会にて生活している。結成当初からメンバーの変更はない。2014年5月20日、バンドはアルバム『Between Illness And Migration』のカナディアン・エディションをリリース。発売当日のiTunesチャートは、ColdplayとThe Black Keysの間、第2位を記録。また『Between Illness And Migration』は2015年Juno賞の”ロックアルバム・オブ・ザ・イヤー”にノミネートされた。

カナディアン・オルタナティブ&インディ・コレクターズガイドには、他にも100組以上のカナディアン・アーティストについて掲載されています。ご購入はこちらからどうぞ。

アレックス·ヘンリー·フォスター:記憶という風に開かれる窓

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アレックス·ヘンリー·フォスターのニューアルバム『Windows in the Sky』がチャート上位をキープする予想外の成功を受けて、Daily Rock Québecは喜んでこの素晴らしいアーティストを紹介する。2つの大都市をまたぐ空の上で、クリエイターであるアレックス·H·フォスターは、親密、且つ表現に富み、そして高評価を受けている、このアルバムについて我々の質問に答えてくれた。

PS:インタビュアーJérôme Go-dreault曰く、このアルバムの心震えるような、何かを思わずにはいられないサウンドは、かつてレナード·コーエンに感じたものと同じものを連想させる、とのこと。おめでとう、そしてありがとう、ミスター·フォスター。

JG: アレックス・ヘンリー・フォスターって誰?どこから来たの?

AHF:  答えるのが一番難しい質問から始めるんだね…!そうだな、シンプルに僕は、音楽、詩、スケートボード、野球とビデオゲームが大好きで、マッカイ&レナードという2匹の犬の父親だ。3年ほど前にYour Favorite Enemiesと一緒に北米ツアーをしていて、その最後の地、テキサスのオースティンで2匹を引き取ったんだよ…

僕の生まれはモントリオールだけど、子供の頃は引っ越してばかりいたから、どこで育ったか特定するのが難しいな…

学生の頃はソーシャルワークについて勉強して、数年前Your Favorite Enemiesとしてフルタイムで音楽への情熱に献身する前は、モントリオールの南海岸にあるHLM(家賃が統制されている家)のコミュニティで性的暴行などの被害にあった子供たちのケアをして働いてた。

JG: いつ、どのような状況で音楽を作り始めたのですか?

AHF:  覚えている限り、僕はいつも音楽を作っていたな。恥ずかしい家族のアーカイブに隠されてるカセットの中には、ノンストップで歌う僕の声に両親がクレイジーになってる様子が記録されてるはずさ…そして、音が出るもので、壊れそうなもの、深刻なダメージを与えられそうなものなら何でも使ってうるさく音を出していた…

十代の頃はパンク/ハードコア/ノイズバンドに傾倒していたから、Minor Threat、Ramones、Gang Greenなどを流しては、クレイジーになれる人たちの輪を広げていったんだ。友人の両親たち、近所の人たちや学校のソーシャルワーカーたちを不快にさせながらね。上手くないってだけじゃ、僕の情熱を止めることはできないんだって理解した人たちに心配もされながら。

でも、働いていたコミュニティ団体にインターンシップに来たセフ(Your Favorite Enemiesのギタリスト)と出会ったとき ーそして同時にセフの弟であるベン(マルチ楽器奏者&プロデューサー)とも会ってー 僕の音楽への情熱が真剣に危険なものから、危険なほどに真剣になったんだ。そして、僕らはバンドYour Favorite Enemiesを結成し、学校を去って、素晴らしい人生が待っていたであろう普通の人生と良き息子たちであることを捨てたのさ。

その後のことは、インターネットの暗闇のどこかに記録されてるはずさ!

JG: あなたの音楽的インスピレーションとアーティスティック・プロセスは何ですか?

AHF: たくさんある、って言えるけど、まず何よりも、本物であり、正直でなきゃいけない。僕のプロセスはおそらく、事前にプロセスを作らないことかも。僕は驚きたいし、予想を覆されたい。だからこそ、日本の伝統音楽から、同時にNick Cave、Swans、Fugazi、Mats Gustafsson、伝統フラメンコ音楽やThe Cureを同じ夜に聴けるのかもしれない…全てはそこにある感情なんだ。それがどんなものであろうと、僕にインスピレーションを与えてくれる。

JG: これまでメディアで伝えらえてきたこと以外に、ソロアルバムを制作しようと思った理由や、どう制作したのか教えてくれますか?

AHF: ちょっとアクシデント的に起きたんだよね。僕は北アフリカに向かったんだ。というのも、Your Favorite Enemiesと5年間に渡ってツアーをしたことで、肉体的にも精神的にも疲れ果てていたから。最後に楽器に触ってから1年くらい経ってたかな、けど現実と向き合わなくて済むよう、そして当時の心境をさらに悪化させないために心の奥深くに埋めた感情と向き合って、受け入れるために詩を書いていたんだ。
そして、映画のサウンドトラックに取り掛かるためにベンがタンジェに来たんだけど、色々と話して、僕が表現できなかった感情を音楽にするよう励ましてくれた。

そうして、徐々に1曲、また1曲と出来上がっていき、結局は人生のある時期を象徴するアンサンブルになったんだ。それをアルバムとして発表する気はなかった。だって、その言葉やサウンドや感情を吐き出したあとに、また再び向き合いたくなかったし、こうやって今みたいに公に話すのも嫌だったからさ…!結局、Your Favorite Enemiesの他のメンバーたちが僕を説得したんだ。そうすることで、僕は自由になって、その本質を受け入れられるはずだって言ってね。彼らは正しかったよ。

JG: もしも状況が違っていても、このアルバムはリリースされていたと思いますか?

AHF: このアルバムが日の目を見ることはなかったと思う…今後、世に出る音楽と同じようにね。

JG: 最新アルバム『Windows in the Sky』について、よりオープンに話してください:

AHF: これは個人的なアルバムだけど、そこにある正直さが、分かち合うことや交流することへと招待している。他の人たちの目を通して、彼らが自分なりに受け取るのを見て、僕もこのアルバムの本質を再発見してるんだ。

JG: このアルバムはあなたの期待に応えていますか?その素質は何でしょうか?

AHF: 僕は期待なんてしていなかった。Your Favorite Enemiesと一緒に制作したものに関しても、期待なんてしたことはない。僕にとって、アートとクリエーションは、そこに注ぐ正直さに限ると思ってる。自分をさらけ出せば出すほど、今作っている瞬間、自分の中にあるもの以外、注げないという事実を受け入れていく。それこそ、僕としては、全ての創作が時間とともに自然に進化していく理由なんだ。過去に作ったものを新しい視点で見ることによって、その作品は今現在のものになる。創作は自分たちが成長するのと同じだけ進化するんだ。少なくとも僕はそう考えてる。

JG: 星10コを満点として、このアルバムはいくつですか?

AHF:  アートへの点数評価は信じてないんだ。アート作品を評価する人間を嫌うアーティストだっている。僕としては、シンプルに視点が一番大事だと思う。『Windows in the Sky』の航海へと身を解放した人たちが持つ考えは、僕のと同じくらい正しいものだ…批評を恐れたりはしないよ。だって、作品が分かち合われたら、もう僕だけのものじゃないから。

JG: アルバム制作に協力した主な人たちは誰ですか?またどのスタジオでレコーディングしましたか?

AHF: ベンはこのプロジェクトの裏にいるマエストロだけど、YFEのメンバーたちも少しずつ参加してるよ。彼らに参加してもらうのは必要不可欠だった。

プロダクションについては、3つの場所で、全く変則的なコンディションで行われたんだ。タンジェに建てたスタジオから、旧カトリック教会をリフォームしたプロフェッショナルYFEスタジオ、そしてバージニアの高地にある創作ステーションさ。

JG: アルバム『Windows in the Sky』の曲をYFEと一緒に演奏することは今後ありそうですか?

AHF: そう願ってるよ!僕がライブでこのアルバムを分かち合いたい場合に、バックアップが必要だったら、こういうことができるよっていうレジュメを既に彼らから受け取ってる!だから、オーディションを開催するよ。シリアスでプロフェッショナルなプロジェクトだからね!

JG: このアルバムの成功に続いて、YFEの未来をどんな風に見ていますか?

AHF: 僕としては、とてもシンプルさ。というのも、成功とかキャリアというものをあまり考えずに音楽をやってるからね。これが僕さ:アルバム『Windows in the Sky』を聴いてくれた人たちが自分なりに受け取ってくれたことに、すごく喜んでる。でも、それが今後来たるものに影響することはない。そして、僕をよく知る人や、YFEを大事に思ってくれてる人たちは、それを理解しているし、応援してくれている。バンドメンバーにとっても同じ何だ。僕らは、何よりもまず、家族だ。今後来たるものは、僕らが経験し、創作し、分かち合いたいことに基づいて決められるのさ。

JG: このアルバムに続くかたちで、映画のプロジェクトに取り組んでいると聞きました。それについて教えてくれますか?

AHF: みんながYFEの新作を待ち焦がれている時に、僕自身のソロアルバムをサプライズ・リリースした後で、”キャリア”のために最もロジカルな決断は、YFEでもアレックス・ヘンリー・フォスターでもない、第3のプロジェクトを発表することで、僕のアルバム『Windows in the Sky』についてのインタビューでそれについて話すことだった…!僕がYFEのインタビューを頼まれない理由が、これで少し分かったでしょ 😉

JG: なぜ日本なのですか?この新しいアルバムやYFEでもそうですが、この国と何か特別な繋がりがあるのでしょうか?

AHF: ああいうタイプのイベントを日本で開催することは、僕にとって大事だったんだ。

日本の人たちとは、特別な関係を持ってる。とても親密なね。自殺防止のプロジェクトから、ビデオゲームFinal Fantasyのサウンドトラック参加、または毎回、音楽やその他のプロジェクトを共有しに日本に行くたびに、家族のように歓迎してくれる特権とかね。

そして、東京で開催することは、自分で命を絶ってしまったあるファンのご両親との約束を達成する意味もあったし、音楽を通してでしか時に表現できない感情を、僕のように、本当の自分を上手く表現できないと感じている人たちと一緒に共有する方法でもあったんだ。

JG: このアルバムで世界ツアーを行いたいと思いますか?

AHF: もちろんだよ。でも、何をシェアして、どういう風にやりたいかを決める必要がある。今もまだそれについて色々考えてるところなんだけど、特別な”瞬間”を過ごしたいとは思ってるよ。これまでのようなロックツアーじゃなくてね…

JG: このアルバムでは、歌詞が重要な役割を果たしているように思えます。この歌詞はこのアルバムのために書かれたものですか?そして、歌詞が先に出来上がり、そこに音楽をつけていったのですか?それとも逆でしょうか?

AHF: いつも歌詞が最初なんだ。それってすごくレアだよね。普通は音楽が先にきて、それに合う歌詞をつけるから。でも僕の場合、YFEだろうと他のプロジェクトだろうと、いつも歌詞から始まる。アルバムで探りたいヴィジョンについて考えながら言葉を溢れさせるんだ。

JG: 複数人とアルバムを聴いたあと(みんなから好評でした)ディスカッションをしたのですが、そのうちの2人は、ところどころ、音楽が不必要に長く感じたと言っていました。それについて、どう思いますか?

AHF: 多分8曲のアルバムで60分以上にもなるオーケストラのようなノイズ音楽と詩の朗読だからじゃないかな…!でも真面目に『Windows in the Sky』は、何よりもまず、旅路になるようにできていて、どれだけ自分を浸すことができるかによって、それは適切だと信じてる。みんなそれぞれ音楽の聴き方は違う。僕にとっては、これが自分を表現する方法だったんだ。自分が感じたことをそのまま分かち合う以外、自問自答なんてしないようにした。でも、そういう人たちが何故そう感じたのかも良く分かるよ。それこそが、分かち合いの美しさであり、他の人たちにアルバムを経験してもらうことの美しさだ。

JG: アレックス・ヘンリー・フォスターは同じタイプのセカンドアルバムを制作するアイディアを持っていますか?そして、それは同じように成功すると思いますか?

AHF: 僕のディスコグラフィを見てもらえば分かると思うけど、特定のジャンルだけをずっとやったりできない人間なんだ。同じ波に長く乗り続けるためや、成功のためにすべきことをやるっていう決断ができない奴なんだよ…!詩吟(日本の古い歌の形態)とアヴァンギャルドなノイズを組み合わせて何かしたいなって夢見てるくらいだからね。もしかしたら、これを機に君は僕に二度と質問したくなくなるかも!だからこそ、このインタビューで答えの長さの新記録を出したかったのさ!

Jérôme Go-dreault

2018年12月08日

『WINDOWS IN THE SKY』について知るべき5つのこと

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Windows in the Sky | Hopeful Tragedy Records

11月9日の週のカナディアン・ミュージック・チャートを見た人は、ビルボードのカナディアン・アルバム・チャートでアレックス・ヘンリー・フォスターのデビューアルバムが第6位に位置しているのを見て、頭を掻いていただろう。SoundScanの報告ではケベック州だけで、その翌週2週間、このモントリオーラーがチャートトップに君臨し、カナダ全土でもパワフルなMuseとImagine Dragonsに続いてチャート第3位についている。

で、この男は誰なのか?

どうやら、彼のバンドは日本で有名らしい。フォスターは2014年リリースのアルバム『Between Illness and Migration』で、2015年のJuno賞ロックアルバム・オブ・ザ・イヤーにノミネートしたバンドYour Favourite Enemiesのリード・ヴォーカルである。もし覚えていなくても、自分を責めないで欲しい。このカテゴリーは数多にあるカテゴリーのひとつであり、Finger Eleven、Sum 41やToxikなどの思い出に残るアクトを輩出してきた。Your Favourite Enemiesは今も活動中で、現在は新作に取り組んでいるそうだ。

『Windows in the Sky』は、前宣伝やツアー日程などの発表なしに発売されたが、フォスター曰く、マルチメディア・プロジェクトを使用して2019年にツアーをする計画があるとのこと。YFEも新しい年に帰ってくるようだ。しかし、今はソロアルバムの突然の成功にフォーカスを当てよう。

このアルバムについて知るべき5つのこと:

1: ガチなポスト・ロックンロール。 大きく広がっていくギターコード、まるで話しかけるかのようなヴォーカルが響き、遠くの方でコーラスが反響し、曲にフィットする限り重ねられたオーケストレーション。「Winter is Coming in」は、U2の「Bullet the Blue Sky」が『Loveless』時代のMy Bloody Valentineと繋がり、Fluttery Records所属のバンドによって演奏されたような曲。壮大なサウンドなのさ。

2: 季節感のあるサウンド。 もしも、カナダが必要としてることを1つ挙げるなら、それは“美しい震えにさよならをする”までの数ヶ月間、暖かい部屋でぬくぬくと気持ち良く過ごす時に聴ける、包容力のあるアトモスフェリックな音楽だ。この国にとって、それは「Snowflakes in July」(7月に降る雪)を意味するかもしれないが、それで良いのさ。

3: クールな始まり/終わり。 「The Pain that Bonds (The Beginning is the End)」が、8曲入りアルバムの幕を開ける。「The Love that Moves (The End is Beginning)」がその幕を閉じる。この2曲は、タイトルが絡み合うだけだなく、曲の構成においてもそうだ。スローなメロディーのコードが、オープニングでは切迫した、何もかもを打ち壊すような音になり、エンディングではより遠のき、進化した音となっていく。もしも我々の『Windows in the Sky』に見るべき眺めがあるのなら、それはきっと脳内に走る列車で想像の景観を通り抜けるのに似ているだろう:そうして、音の旅のようになるのだ。

4: The Hunter (By the Seaside Window). おそらく、これは日本のファンへのオマージュだろうーアルバムは2日間に渡って東京で開催したリスニングセッションにてローンチされたーこの15分近くにも及ぶ作品は、フォスターのヴォーカルが激しく混乱していく中で、日本語で何かを囁いてるセカンダリー・ヴォーカルがある。シリアスなギターノイズが好きな人はチェックすべき楽曲だ。

5: そう、嘆きについて。 『Windows in the Sky』は、癌との長きに渡る闘病の末に父親が亡くなったことを受けて、フォスターが制作に取り組んだアルバムであり、孤独の中で書かれたものだ。これは愛、死、悲しみ、嘆きの探求であり、そのような経験をしたことのある人たちに響くであろう心の疲労感がある。おそらくだからこそ、このアルバムは多くの人の共感を呼ぶのだろう。人が歳を取るだけ、この物語はより繰り返されていくのだから。

Stuart Derdeyn
2018年11月27日

アレックス・ヘンリー・フォスターがソロデビューで一気にブレイク

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カナダの音楽業界チャート・ウォッチャーはモントリオール出身アレックス・ヘンリー・フォスターのソロデビューアルバム『Windows in the Sky』がランキング上位に位置したことに驚きを表した。

リリース最初の週(11月9日発売)の売り上げは、ビルボードのカナディアン・アルバムチャートで6位、SoundScanではケベック州で1位、カナダ全土でMuseとImagine Dragonsに続き3位を記録した。アルバムはiTunesカナダのチャートでは、The Beatles、Queen、Lady Gagaを抑えて先週5日間連続で1位をキープ。さらに最初のビデオ「Summertime Departures」は早くもYouTubeの視聴回数10万回に達している。アルバムはHopeful Tragedy Recordsよりリリース、ディストリビューターはSony Music / The Orchard。

フォスターの名前は多くの人にとって初めて聞く名前かもしれないが、冒険的ロックバンドYour Favorite Enemiesのシンガー及びソングライターとして既に国際的成功(特に日本)を収めている。バンドは2014年にカナダ国内でリリースしたアルバム『Between Illness and Migration』が、2015年のJuno賞ロックアルバム・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた経験も持つ。

『Windows in the Sky』の成功は、一切の前宣伝なしというから、更に感銘的だ。FYIからのインタビューに答えたフォスター曰く「前宣伝なしに『Windows in the Sky』をリリースしようと思った理由は、音楽や感情がありのままに開花して欲しかったからであり、また自分が好きなことだけをしたいって思ったから」とのこと。

「YFEとしてリリースした最後のアルバムは、Juno賞にノミネートされ、トータルで5年もの時間をツアーに費やした。その経験で完全に燃え尽きちゃったんだよね」

今回の新作をサポートするためのツアーなどの発表はないが、フォースターは忍耐強くアドバイスした。「『Windows in the Sky』はプロジェクターやアンビアントな照明を使ったりするマルチメディア・プロジェクトだから、いつものロックンロール・スタイルとは全く違うセットアップで演奏したいし、違ったタイプの瞬間や経験を分かち合いたい。というわけで、このアルバムのライブをするよって言うのには長い回答だろうけど、“いつ”、“どこで”、そして“どうやって”演奏するのかは、2019年の初めに知らせるよ」

この作品の創作者として「『Windows in the Sky』は、8曲入りのLPをリリースすると決めた瞬間から、もう既に成功だったのさ。しかも1時間のアルバムの中間に15分の長さの曲が入ってるやつをね…!成功ってのは、何をどう見るかで変わってくる」

YFEの未来として、フォスターが説明するには「今の時点では何とも言えないかな。前のアルバムの制作で、取り組んだけれど、まだリリースされていない曲などがいっぱいあるし、最近タンジェに全員で集まって全く新しい曲を作ったりもしたんだ。」

「Your Favorite Enemiesはまだまだ続いていくってこと。ただ『Windows in the Sky』や、ベン(YFEのギタリストでプロデューサー)と一緒に取り組んでいるオリジナル・サウンドトラック・プロジェクト等のために、“いつ”、“何”をみんなとシェアしたいかを定めるのが難しいってだけだよ。そもそもYFEが、バンドを成功に導くとされてるロジックや、良く考えられたキャリアの道に従って歩いたことなんかないしね。だからこそ、僕らのオルタナティブな方法の幅が更に広がると思うな。特に今は様々に違うプロジェクトが次々に開花しているから。 “まぁ、様子を見よう”っていうのが今言える答えかな」

今後のYFEのライブに参加するには、ファンは目を光らせておく必要がある。「2年とちょっと前にニューヨークでコンサートをした後、ニューアルバムが完成するか、死ぬ前に出演したいフェスティバルからのオファーが来ない限り、ステージには立たないと全員で決めたんだ。」とフォスター。

「違う名前で時々、演奏はしていたけどね。“バロウズは2ステップ・バレエ・ダンサーだった”とか“俺たちはデスメタルバンドじゃない、ただクールなだけだ”っていう奴らが近くの街に来るかチェックしてみて…もしかしたら、それはYour Favorite Enemiesとの親密な夜になるかも!」

Kerry Doole
2018年11月23日(金)

アレックス・ヘンリー・フォスター贖罪的な旅

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彼はドラモンヴィル・バンドYour Favorite Enemiesのリーダーである。

アレックス・ヘンリー・フォスターにとって、日常の喧騒から逃れるために向かったモロッコへの旅は、結果として、数日前にリリースされたばかりのソロアルバム『Windows in the Sky』へのインスピレーションの源となった。既に彼の作品は、Marie-Mai、MuseやImagine Dragonsなどのビッグアーティストを抑え、チャートトップに君臨している。

この予想外のサクセスストーリーの始まりは2年前に遡る。バンドYour Favorite Enemiesの音楽サイクルが終了したと同時に、アレックス・ヘンリー・フォスターはしばらく表舞台から離れる決意をし、バンドの次回作へのインスピレーションを求めて、単身タンジェへ向かった。

「ここ10年間は、バンドとして忙しく過ごしてきた。特に僕らは独立したバンドとしてアルバム制作のあらゆる側面を自分たちで管理してきたから、疲れ切ってしまったんだ。YFEの嵐が過ぎたあと、色々なことから逃げ出して、穏やかな世界に身を置くことができた」とフォスター氏は言う。

徐々に、まず言葉が現れていった。コラボレーションをするにつれて、彼の仲間であるベン・レムリンが、シンガーの書いた詩に合うようなメロディーを作っていった。タンジェにスタジオまで建てたそうだ。

「このアルバムは僕のアイデンティティだ。バンドの他のメンバーたちに僕の物語を背負わせたくなかった。インスピレーションとなったのは父の死であり、それは個人的な心情だ。なんとなくセラピーのような、自分自身のために書いたアルバムっていう感じ。でも時が流れるにつれて、彼らは音楽的に関わりたいと言ってくれたんだ」と、現在バージニア州にて別のプロジェクトに取り組んでいるアレックス・ヘンリー・フォスターは付け加えた。

11月9日、何の前宣伝もなく、8曲入りアルバム『Windows in the Sky』はリリースされた。そして、アルバムはすぐさまケベックチャートのトップに躍り出た。

「このアルバムについては、あまりプロモーションをしなかった。最初にカナダにいるチームのみんなに感謝を伝えるためにも聴いてもらって、そのあと日本へ向かいリスニングパーティーを開催したんだ。こういう風に僕のアルバムを人とシェアすることは、自分自身へのギフトだった」とアレックス氏。「こんな成功は全く予期していなかったよ。そういう考えを持って作ったわけじゃないし。むしろアーティスティックなアプローチをしたんだ。ラジオで流れるような曲でもない。特に14分にまで及ぶ曲はね」

Your Favorite Enemiesのプロジェクトについて

アレックス・ヘンリー・フォスターのソロプロジェクトや、映画のサウンドトラックへのコラボレーションなど様々なプロジェクトに関わらず、YFEは終わりではない。ドラモンヴィルに建つ旧聖シモン教会に拠点を置くバンドの、今後の方向性を必ず加えて欲しいと言われている。

「今はそれぞれが、それぞれに色々なことを試してる。またバンドとして戻って、僕らの感情をシェアするよ。僕らの結束はいつだって消えないんだ。そして、時がくればその全てにおいてワクワクするはずさ」とフォスター氏は締めくくった。

Ghyslain Bergeron

2018年11月23日(金

アレックス・ヘンリー・フォスター: 予想していなかった成功!

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ケベック出身のアレックス・ヘンリー・フォスター、Marie-Maiのアルバムセールスを超える

11月15日の週の終わり、4,504セールスを記録したAlex Henry Fosterの『Windows in the Sky』は、Museの『Simulation Theory』(4,211)、Ginette Renoの『À jamais』(4,172)、Marie-Maiの『Elle et moi』(3,044)、Imagine Dragonsの『Origins』(2,492)を抑え、ケベック州でのアルバムセールスをトップで終えた。

Muse, Imagine DragonsとMarie-Maiは11月9日にニューアルバムをリリース。発売から1週間、ケベック州で最も高いセールスを記録したのは誰だろうか?この3人ではない。全ての名誉はドラモンヴィル・ロッカーであるアレックス・ヘンリー・フォスターへと与えられた。

ケベックバンドYour Favorite Enemiesのリードシンガーが生んだソロプロジェクト『Windows in the Sky』は、Nielsen SoundScanの週報によって、人々に衝撃を与えた。Muse, Ginette Reno, Marie-MaiとImagine Dragonsを抑えトップに躍り出たのだ。「言葉が出ないよ。想像もしてなかった!」とインタビューに答えたフォスター。

カナダ全土で『Windows in the Sky』は、MuseとImagine Dragonsに続き第3位で1週目を終えている。

アレックス・ヘンリー・フォスターが驚いたと言うのも、かなり控えめな表現である。彼は全く期待をしていなかったので、アルバム発売の発表すら、たったの1週間前だった。宣伝キャンペーンがそれほどミニマリストだったので、本紙が彼にインタビューをする最初のメディアである。

サプライズ

それでも、火曜日、アレックス・ヘンリー・フォスターのアルバムは絶好調だった。iTunesカナダのオンラインストアにて、新譜がリリースされたばかりのFred Pellerin, Michael BubléとMumford and Sonsに続き、第4位についたのだ。

さらに驚きなのは『Windows in the Sky』が2018年のコマーシャルサクセスとは全く反対の作品であることだ。平均5分の長いトラックを中心とし(「The Hunter (By the Seaside Window)」は14分18秒)プログレッシブロックのような探究的なムーヴメントを思い起こさせるポストロックへと導いている。

それ故、フォスターにアルバムの成功について尋ねたところ、彼に言えるのは仮説だけなのだ。「多分、人はこういうタイプの音楽を聴く必要があるんじゃないかな。いつもとは違う何かを経験して、いつもとは別のサウンドを聴く必要が。商業レベルでは理に適わない15分の曲があるってのも良く影響したのかも」

冒険

この想像していなかった成功に関わらず、世界中、とりわけ日本に根強いファンのネットワークを築いてきたバンドYour Favorite Enemiesの未来が危機を迎えているわけではない。

「冒険はまだまだ終わらないよ。反対に、僕が今経験していることは、バンドで一緒に音楽を作るときに幅を広げてくれるはずさ」とアレックス・ヘンリー・フォスターは言う。

今現在、すでに他の音楽プロジェクトに取り掛かり始めているフォスターには、コンサートツアーの予定はない。しかし、この予想外の成功によって “それをさらに推し進めて、この冒険が自分をどこまで導いてくれるか見てみたい”という願望を与えたことも確かだと認めていた。

Cédric Bélanger
2018年11月20日(火)

I Am Justeen: PLAYLIST #21

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この新しいプレイリストに、モントリオールのバンドYour Favorite Enemiesが親切にも参加してくれたよ。(この機会を与えてくれたジュリエットに感謝)バンドのシンガーであるアレックスが、5曲のお気に入り楽曲を教えてくれたんだ。ニック・ケイヴ、バウハウス、またはスワンズのファンの人たち、このプレイリストは君のためだよ!

DEAD KENNEDYS – POLICE TRUCK

サディスティックでありながら、この上なく楽しい方法で僕を笑顔にさせてくれるバンドの一つ、Dead Kennedys。「Police Truck」の最初のコードを聴いただけで、自分が何故マイクに向かって叫ぶようになったのか、何故、法律の授業を取らなかったのかをすぐに思い出せる。(母親は混乱していたよ)だから、特待生や専門の道に進むか迷っている人にとっては、聴くべき曲じゃないかもね…!

GRINDERMAN – HONEY BEE (LET’S FLY TO MARS)

Nick Cave & Warren Ellisの才能のために、僕はBad Seeds / Grindermanのカルトに入ったんだ。ツイストされながらも、福音主義的であり、そして彼らに共通した感情的激しさが、痛みを感じるような、心の奥深くからの旋風を通して、妥協することなく耳に届く。

SWANS – THE GLOWING MAN

僕らの心と魂を掴みながら、精神をも征服してしまう数少ないバンドがいる。まるでスワンズのMichael Giraがそうであるようにね。シャーマンのマスターのように、緊張と放棄、トランス状態と高揚感のあいだを抜けて演奏をする。“Glowing Man”は影と光のあいだ、狂気と復活のあいだのどこかだ。

MOGWAI – HUNGRY FACE

疑うことなく、Mogwaiはお気に入りのバンドの一つだよ。彼らはユニークで特異な方法をもって、目に見えないものに触れる。複雑な感情を通り抜け、ノスタルジア、希望、メランコリーという色を生むんだ。そして、脆さと嵐のあいだを行ったりきたりするサウンドをつくり、落下するか、飛び立つかのギリギリのところに到達する。

BAUHAUS – IN THE FLAT FIELD

何の感情も感じられなくなる荒廃した時期を過ごしている時の僕のやましい楽しみ。バウハウスは人生の特徴である音のカオスを通して、退屈さで麻痺した僕の心を再び目覚めさせてくれる。魂の目覚め、その不安、そしてその典型的な愛情深いひらめきを。

Canadian Beats: Your Favorite Enemiesに5つの質問

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Five Questions WithのコーナーでケベックバンドYour Favorite Enemiesに質問することができて嬉しいです。バンドはアルバム『Between Illness and Migration』についての新しいセルフ・プロデュースLPレコード“A Journey Beyond Ourselves”を本と一緒に9月1日にリリースしました。その本の中に、私たちが書いたレビューが掲載されていると知って、とても嬉しいです!本はもう完売してしまったけれど、まだLPレコードと他の素晴らしいグッズが販売されているので、ウェブサイトのインフォメーションをチェックしてみてください。

読者に自己紹介をお願いします。

僕はアレックス・ヘンリー・フォスター。ポストロックバンドYour Favorite Enemiesのリードシンガー。バンドは長年の友人たち5人と一緒に、ほぼ10年前に結成したんだ。

モントリオール郊外に住んでいて、旧カトリック教会を僕らの本部にリフォームした。プロフェッショナルなレコーディングスタジオや、リハーサルスペース、マルチメディア部門の仕事場と、グッズ製作のための設備も施されていて、さらにレコードレーベルとしてのオフィスもある。僕らはDIYの代弁者だ。そして、どのプロジェクトもコミュニティ価値と人権への関わりに基づいている。

あなた方の音楽と作曲スタイルについて教えて下さい。

ポストロック/サイケ/ノイズ/オルタナ・シューゲイズのブレンドとして描写されてきた。そして、Nick Cave, Mars Volta, Fugazi, Mogwai や Sonic Youthなどの私生児としてみなされることが多い。

僕らとしては、もっとシンプルに説明できると思う:直感に従うタイプのグループなんだ。習慣やフォーマットを気にしたり、心配したりせずにね。様々に共有する瞬間の中で、自分たちが感じたままに曲を作っているよ。良い感じにするためとか、他人の期待に応えるために、こうであるべきとか、これを分かち合うべきっていうものよりも、一緒に経験した瞬間の正直さに興味がある。

近々ライブはありますか?まだあなたのライブを見たことがない人に向けて、あなた方のライブパフォーマンスをどう説明しますか?

近々ライブをする予定はないよ。次回作に取り組むために、みんなでタンジェへ向かうから。

でも、バンドのライブを見たことがある人は、こう言うかもしれないね。僕らのライブは会場が一体となって心を解放する、高揚的な瞬間だって。とても生き生きとしていて、インプロや楽器をスイッチして演奏したりもする。全てはその瞬間についてで、何にも縛られない。僕らが同じライブを2度やることはない。エンターテイメントの名のもとで、感情を再現することを信じていないんだ。それが本物であるなら、以前うまくいったものの真似をする必要なんかない…それが本物である限りね。僕らにとっては、それが一番大事なんだ。

あぁ、それと、ライブ後に会場を去るとき、シンガーは大丈夫だったか聞くかもしれないね。とっても高いところからジャンプしたからって。色々とカバーしてくれる良い保険を探すのが、どんどん難しくなってるのは言うまでもない…そして、適切な医療チームがすぐそばにあるライブ会場でパフォーマンスするのもね

楽曲を1曲だけ人に勧めるとしたら、どの曲を選びますか?

アルバム“Tokyo Sessions”から、”Underneath a Blooming Skylight”。

Canadian Beatsはカナダの音楽シーンについてです。というわけで、最近お気に入りのカナディアン・バンド/アーティストは誰ですか?

僕らはみんな違うテイストを持っているけど、共通しているバンドやアーティストと言ったら、この人たちかな:Metz, Neil Young, Godspeed You! Black Emperor, Feist, Preoccupations, Japandroids, Oughtと、Leonard Cohen.