FYI Music Magazine: “Your Favorite Enemiesのアレックス・フォスターに…5つの質問”

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

ケベックを拠点に活動するロックバンドYour Favorite Enemiesは、 A Journey Beyond Ourselvesと名付けられた新しいプロジェクトをリリースし、既に感銘的な彼らのカタログを拡大した。DIYバンドのメンバーによってハンドメイドされたプロジェクトは、アルバムTokyo SessionsのダブルLPと、バンドがモントリール郊外に持つ教会スタジオにてライブレコーディングした未発表曲”Underneath (As Strangers Falling in Love)”の10インチレコードが含まれている。

それに加えて、リードヴォーカルのアレックス・フォスターが書いたパーソナル・メモや、ツアー中に書き綴った日記の一部、未発表の詩、そして彼らのワールドツアーからの写真、各バンドメンバーによる回想記などが詰まった豪華な本も揃えている。

A Journey Beyond Ourselves は、Your Favorite Enemiesの過去5年間を振り返ったまさに旅路だ。バンドメンバー6人それぞれの親密な物語が語られ、アルバム 『Between Illness and Migration』の複数のバージョンを制作した理由に触れている。

また、フォスターが肉体・精魂ともに尽きるようだったと描写する前作品の創作期間のあと、バッテリーをリチャージするために数ヶ月間活動を控えていたが、このプロジェクトは彼がフルタイムでの活動に戻る印にもなった。A Journey Beyond Ourselvesの詳細については、 yourfavoriteenemies.com へ。

A Journey Beyond Ourselves は、素晴らしいプロジェクトです。完成するまでにどのくらいかかりましたか?また、チャレンジだったことは何ですか?

このプロジェクトを完成させるまで、1年とちょっとかかったかな。

実は、最初にこのアイディアが生まれたのは日本で開催したコンサートから帰ってきたあたり。アルバム『Between Illness and Migration』の解釈を全く新しくして、日本でコンサートをしたんだ。このコンサートが、アルバムTokyo Sessionsへと導き、次回のアルバムへとシフトしていく間に、A Journey Beyond Ourselvesのアイディアが一瞬、再浮上した。その時はみんな、とても忙しくて、こんな壮大なプロジェクトに取り組むなんて正直、余裕がなかった。けど、1年くらい前に僕がタンジェに滞在していたとき、このアイディアについて再び考えてみたんだ。

正直になりたいというバンドに共通した意思よりも、どれだけ率直になれるかというジレンマの方がチャレンジだった気がする。このプロジェクトが徐々に形になっていく中で、要となったのはそれなんだ。最初はアルバム『Between Illness and Migration』のコンセプトに関わる物語についてだったのが、世界各国を訪れたツアーなどの5年間にまで広がっていったからね。でも何となく、個人ノートを再び開けて、僕のツアー日記などを読み返していく中で、このプロジェクトはより親密でパーソナルなものになっていった。バンド内の関係について深く見つめたり、鬱や孤独に関わるチャレンジ、質素なバックグラウンドを持つ6人の異なる人間たちの目が、世界を知ることで生じる目眩がするような現実とかね。

アルバムの物語は、違うアングルで自然に明かされていったよ。それを書き直して、神話かのように良く見せようとするのではなく、ありのままの物語に完全に浸り、お互いと再び繋がるための手段にしたんだ。

僕らが来た場所、以前の僕ら、通ってきた道、そして、それを生かしたまま取り出すことがどれだけ難しいか、それと向き合うことこそ、長時間アーカイブを覗いたり、プロジェクトの製作において直面したテクニカルな問題よりも、チャレンジだったように思う。

長い答えだとは思うけど…まぁ、これでも一部だよ!

自分についてさらけ出すことが、何故そんなにも大事だったのですか?

自分が誰かの物語の影になっていると認めた瞬間に、そうすることが必要になったと思う。自分の人生の傍観者になって、誰からも離れ、感情的に完全に孤独だって認めたときに。その道のプロに相談したり、他の人たちに打ち明けたりもできたかもしれないけど、文章を書くことが、いつだって僕の自己表現の方法だった。だから、そうやって向き合ったんだ。そして、真実以上に、正直言って、ポジティブに解放することができたと思う。まるでドラマかのように公に自分に鞭打つんじゃなくてね。最初は気が進まなかったけど、何となく、書いて心を開くことが自分にとって良いことだと分かっていた。

こういう問題はとてもセンシティブだと思うけど、鬱や心の病というのは、自分で認めることがすごく難しいものだと気付いたんだ。まるでタブーかのような。”強くいる”ことがすべての答えになっているからね。本当に必要なのは脆くなることかもしれないのに。まぁ、僕はそういう風に考えてるし、そうやって心の問題に対処するようにしてるんだ。数年前、Matthew Goodのパーソナルストーリーが警告してくれた…ある意味で、孤独のサイクルを壊してくれたよ。

バンドを、友人として、ミュージシャンとしても強い絆で結ばれたものにした要素をどう描写しますか?

お互いの違いを受け入れることを学んだって言うかな – そして僕らがどれだけ違うかを神様は知ってる!だから、バンドに必要な妥協を育てるんじゃなくて、僕らが分かち合っている言語の本質を定義し、再定義し続けようとしてるんだ。僕らみんな、自分の中の悪魔や影と戦ってるという事実を認めたんだよ。そして、他人を自分の自己保存の視点に合わせようとするよりも、ありのままの僕らをお互いに受け入れることを学んだんだ。

理由を確かなものにするのは難しい。けど、僕らはお互いを見つけ、何となく僕らの目的を見つけたんだ。残りは選択さ。ここ数年で学んだことは、プロジェクトがどれだけ新鮮で、心が高揚するものだったとしても、それは僕らがお互いに投資する時間の代わりにはならないし、僕らにある問題を永遠にカバーすることもないってこと。覚えておくべきモットーと哲学的な視点だよ。時に、他の人たちよりもね!

今取り組んでいる新しい音楽について少し教えて頂けますか?

僕らは、いくつか違うプロジェクトに取り組んでるよ。セフ、ベンと僕は今まさに、来年リリース予定のサウンドトラック・プロジェクトを完成させようとしてるんだ。僕はフランス語の朗読/ノイズ/エクスペリメンタル・アルバムも同時に制作中だよ。そして、僕はYFEサーカス全員を今月末にタンジェへ連れていき、街の中心に建てたレコーディング・スタジオで次のアルバムに取り掛かろうとしてる…僕らの毎日は多くのノイズに囲まれているよ!

子供の頃の音楽にまつわる最も好きな思い出は何ですか?

本物のロックンロールが何かについての激しい口論かな。母はElvisが大好きで、父はCreedence Clearwater Revivalに忠誠を誓っていた。激しい会話は、理由がどうあれ、男はソファで寝なきゃいけないこともあるってことを理解させてくれたよ!まぁ、それはともかく、二人はその後、共通の考えを見つけるんだ。僕が大好きだったMinistry, Skinny Puppy や The Cureへの完全なる嫌悪でね。分かってるよ、僕も何故なのか理解できない。多分、髪型じゃないかな…さぁ、どうだろうね!

Longueur d’Ondesより“Tokyo Sessions”レビュー

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

2014年、モントリオール出身の素晴らしいバンドの出現を逃した人たちは、セッションに追いつかないといけません!このTokyo Sessions(バンド公式サイトでのみ入手可能)は、2015年にリリースされたアルバム『Between Illness and Migration』のデラックスバージョン(16曲入り)です。人々の記憶に残るようなアルバムですよ!激しく燃えるようなリズムに導かれ、メロディーと言語(時にフランス語も登場)が互いに呼応する、嵐の中心、飽和的ギターのトルネードのど真ん中へとリスナーを連れていってくれます。作詞が先をいくかのように道を切り開き、作曲が未知なる世界へと私たちを導きます。激しく、盛り上がるこの作品は、At the Drive-Inの解散以来、なかなか見ない高みに到達しています。とても深く、濃い、素晴らしいまでに内在する緊張感によって心動かされるアルバムです。

オススメ:“1-2-3”, “Empire of sorrows”, “Anyone”

RÉGIS GAUDIN

オリジナルインタビューを読む(フランス語)

Interview with Sef by For Guitar Players Only

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

Why Sef Is Everyone’s Favorite Enemy

Your Favorite Enemies guitarist is constantly pushing the comfort zone


By Jon Liebman

April 11, 2017

Growing up in Montreal, Stephane “Sef” Lemelin developed a passion for music as he took a liking to Testament, Iron Maiden, Metallica and other metal bands of the day. “I was so amazed by the intensity of the music at that time,” he says. “It was so raw and pure and it was a way for me to express myself.”

Sef is best known for his guitar work in Your Favorite Enemies, an alternative rock band he co-formed in 2006 with vocalist Alex Foster, guitarist Jeff Beaulieu, keyboardist Miss Isabel, drummer Charles “Moose” Allicie and Sef’s brother, bassist Ben Lemelin.

Since day one, the band members have made a priority of managing every aspect of YFE’s career to reflect their own values and beliefs, among which are human rights activities, Amnesty International efforts and using music to help children.

The band’s self-produced albums and EPs, including Between Illness and Migration and If I Was to Die in the Morning… Would I Still Be Sleeping with You, were released on the band’s own label, Hopeful Tragedy Records.

In 2009, the band acquired a former Catholic church in Drummondville, about an hour-and-a-half outside Montreal, and converted it into a full-service recording studio. They launched their own talk show, Bla Bla Bla: The Live Show in 2010, which covers band news, tour and merchandise information and other relevant YFE goings on.

Your Favorite Enemies has been cited by Billboard magazine as a band “to watch.” They have delighted audiences throughout the U.S., Europe and Asia and were a part of the 2015 Juno Awards when Between Illness And Migration was nominated for “Rock Album of the Year.”

FGPO’s Jon Liebman caught up with Sef at the Tech 21 booth at the 2017 winter NAMM Show in Anaheim, CA.

Watch our interview with Sef!

Journal de Montréal – Your Favorite Enemies、DrakeやBeyoncéより上位へ

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

Your Favorite Enemies、DrakeやBeyoncéより上位へ
ケベックバンドがiTunesカナダのチャート第1位にランクイン

ラジオ局の宣伝協力を受けないまま、ケベックバンドのYour Favorite Enemiesが最新アルバムにて、ドレイク、ビヨンセ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやアデルを抜いて、iTunesカナダのトップに躍り出た。

ドラモンビルを拠点に活動するバンドは、すぐにその座をBlink 182に譲ることとなった。

それでもなお、『Between Illness and Migration』のデラックスバージョンである“Tokyo Sessions”は、2016年6月17日のリリースから、26,000枚のセールスを記録している。

その上、Your Favorite Enemiesのアルバムセールスはデビュー以来、世界中で200,000枚にも及ぶ。バンドは中国、日本やヨーロッパでのフェスティバルにてヘッドライナーを務め、人気を博してきた。けれどケベックでは全くである。

預言者が敬われないのは、その故郷だけであるということわざにもあるように。けれど、10年経ってようやく風向きが変わってきたと、バンドのギタリスト、ジェフ・ボーリューは語る。

「ここまで来るのに時間がかかったよ」とジェフは言う。「海外でライブをするために空港に立ち寄らなくても、ここで同じように認められてきたことは本当に嬉しい。」

「僕らにとって、カナダのケベックでアルバムをリリースすることは、他の国よりも、いつも少し怖いことなんだ。リスナーのリアクションに対して、少し警戒しちゃうんだよね。でも、こういう反応を見るのはすごく特別だよ。最も素晴らしい贈り物だ。ここは、いつだって難しかったから。」

アメリカで成功すること

ファースト・バージョンのアルバム『Between Illness and Migration』は、カナダで2014年に発売された。始まりは今回と少し似ていて、カナダ国内のiTunesチャートでColdplayとThe Black Keysと並んでトップチャートにランクインした。セカンド・バージョンは東京で行われたコンサートにインスピレーションを受けて、同じ曲でありながら、全く新しい音楽の道を探求した。そして、その曲たちとともにニューアルバムの制作を決めた。

「少しエレクトロな音を入れたんだ。日本では、やりたいことを何でもトライできる。音楽へと自分を解放すれば、みんなそれを楽しんでくれるんだ」とジェフ・ボーリュー。

世界中至るところで、アルバム『Between Illness and Migration』は素晴らしいレビューを受け取っている。イギリスのメディアはYour Favorite Enemiesについて、メープルベーコン以来、カナダが生んだ最高のものだと言い、その音楽体験をピンク・フロイドと比較している。

ジェフ・ボーリューはアメリカ合衆国でのブレイクを期待している。また別の”突き抜けるのが難しいマーケット”だ。 しかしながら、バンドは現在、次回作のプロデューサーにロサンジェルスやニューヨークの人物を迎えることをディスカッションしていると言う。

ニューアルバムは2017年の予定

Your Favorite Enemiesは、もう10年ほどこの業界にいる。2009年に、ドラモンビルにある教会を購入し、スタジオへと改築した。

今日、Your Favorite Enemiesは20人の共同体だ。バンドメンバーは、誇りを持って独立しており、全てを自分たちで行っている。自主レーベルを設立し、自らがマネージャーとなり、さらにはバンドのTシャツも自分たちの手で制作している。

口コミや彼らのファン、そしてコンサートに感謝である。バンドは確かな人気を確立してきた。彼らは現在、2017年初頭にリリース予定のニューアルバムに取組んでいる。

オリジナルインタビューを読む(フランス語)

FYI Music NewsにてAlexのインタビュー

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

Your Favorite EnemiesのAlexに…5つの質問
Par Jason Schneider

現在、カナダ国内のロックバンドで最も人気があるのは(The Tragically Hipは別として)モントリオール出身のYour Favorite Enemiesではないかという議論がなされるべきだ。

でもひょっとしたら、あなたは彼らのことを聞いたことがないかもしれない。

断固としてDIYで活動してきたバンドは、6月17日に最新アルバム『Between Illness and Migration: Tokyo Sessions』をリリースし、すぐさまiTunes内4つのカテゴリーでトップ5入りした上に、26,000ユニット以上を売り上げ、SoundScanのカタログ・アルバムチャートにて(皮肉にも)The Tragically Hipの『Yer Favourites』の次となった。

バンドはオリジナルバージョンのアルバム『Between Illness and Migration』が2015年のJuno賞にてロックアルバム・オブ・ザ・イヤーにノミネートされたが、そのすぐあと、今現在のアーティストのヴィジョンに基づき全く新しく再レコーディングし、アルバムに新しい命を与えた。それは、まずアーティストたちが考えもしない動きだろうが、Your Favorite Enemiesはここ10年以上も独自のルールで活動してきており、彼らの達成してきたことが、そのことを物語っている。

メンバー構成は、アレックス・フォスター(Vo)、ジェフ・ボーリュー(Gt)、セフ(Gt)、ベン・レムリン(Ba)、ミス・イザベル(Key)とチャールズムースアリッシー(Dr)。Fugazi, Sonic Youth, The Cure, Pixies, My Bloody ValentineやMars Voltaなどに音楽的、哲学的に影響を受けており、2007年に自主レーベルHopeful Tragedy Recordsを設立した。

革新的、積極的なオンラインマーケティングにより、デビューEPは即座に30,000枚のセールスを記録し、ヨーロッパツアーへと導いた。この時はまだ国内でのライブを4度しか経験していなかったらしい。バンドが2008年にリリースしたアルバム『Love Is a Promise Whispering Goodbye』は、日本で熱狂的なサポートを受け、海外バンドとして初めてビデオゲームFinal Fantasyのサウンドトラックに参加することとなり、どの曲も日本のチャートでトップにランクインすることとなった。

その思いがけない収入を使い、ケベック州ドラモンビルにある教会をマルチメディア・ヘッドクオーターとレコーディングスタジオへと改築した。その間、非営利人権組織”Rock N Rights”を設立。2011年、バンドは果敢にも17日間の中国ツアーへと出発し(DVD ”The Uplifting Sound of an Epiphanic Awakening…”として記録)、その足を日本へと延ばし、東日本大震災を受けた日本支援として東京、大阪、京都にてコンサートを行った。

ヨーロッパとオーストラリアのオーディエンスも着々と広がりを見せる中、日本で分かち合った特別な絆が、『Between Illness and Migration』の新しいイメージをインスパイアした。そのことについて、アレックス・フォスターが説明する時間を取ってくれた。

『Between Illness and Migration』を改めて再レコーディングしようと決めたきっかけは?

そのアイディアは、昨年の11月、日本で行ったシークレットショーのリハーサル中に持ち上がったものなんだ。その時にアルバムをフル演奏する予定だった。語り部的なショーにしようと考えていたんだ。2~3本のアコースティックギターとマイク数本だけで。そのために、改めて曲へと自分たちを浸していったときに、アルバムの本質を再発見しただけでなく、何年かツアーをしたことによって、それがどれだけ進化したかに気がついたんだ。シンプルなギグになるはずだったものが、数本のキーボード、エレキギター、コントローラーにエフェクター、たくさんのパーカッションとドラムキットが関わるコンサートになったよ。そして、その全てが各曲のために特別にデザインされたショートムービーのプロジェクションによってサポートされていたんだ。

僕らは楽器を取り換え、インプロし、完全に解放した。本当に自由な瞬間だったんだ。家に戻り、アルバムが歩んできた旅のままレコーディングしようって決めた。僕らのアドバイザーたちは、そんなのクレイジーだって言ったよ。でも、もう10年ほど、そのナンセンスでやってきてるから、僕ら自身のマッドネスに従い続けるのがベストだってことになったんだ。それは、思い返せば、いつだって僕たちのビジネス戦略の基礎なのさ!

最も大きく変化したと感じる曲はどれ?そして、その理由は?

難しい質問だな。『Tokyo Sessions』は、本質的にオリジナルバージョンとは違うアルバムだよ。でも、『Tokyo Sessions』の本質を体現しているハイライトを選ばないといけないんだとしたら、「Satsuki Yami (My Heartbeat)」と「Underneath a Blooming Skylight」かな。「Satsuki Yami」は短いオープニングトラックだったんだ。アンビアントなキーボードと一緒にノイジーなギターによって特徴づけられる曲だった。その独特な雰囲気と不快な空気感は、夜明けに見る最初の色を映し出してるんだ。暗い波と明るい光のバランス。そのサウンドは、僕らが最初に『Between Illness and Migration』を書いたときの緊急的な状態を描きだしてる。

「Underneath a Blooming Skylight」は、オリジナルタイトルを「Underneath a Stretching Skyline」とし、全く違う曲に生まれ変わった。この曲は、2つのアルバムにおける決定的な違いを最も表しているものだと思う。オリジナルの方は、主に言葉と物語に重きを置いたんだ。新しいバージョンの方は、音楽的ランドスケープと音の感覚がメインになってる。グルーヴについてだよ。そして、ノイズやリズムと一体になることについて。それが、全く違う光の中に、言葉を浮き上がらせている。

ここ数年、あなたの人生で最も変化したことは?

シンプルに聞こえるだろうけど、自分が過ごす瞬間がどんなものであろうと、楽しめるようになったってことかな。僕らは結成当初からDIYでやってきてる。そして、すごいワイルドな夢を思い描こうとしても、想像できなかっただろうことを達成できて、最高に恵まれていると思うんだ。僕ら自身の価値に基づいて、親友たちと一緒に、やりたいことができるのは、ものすごく光栄なことだ。それでもなお、そういう恵みを本当に楽しむことは、実はすごくチャレンジだったりした。

僕らはみな、現状に甘んじるようになることや、友人たちから快楽主義のクソ野郎だって思われるのが怖かった。でも、ほぼ10年経って初めて、少しスローダウンして眺めを楽しむ時間をとってもオッケーなんじゃないかって、たまには顔をクシャクシャにして笑っても良いんじゃないかって、みんな思ったんだよ。だから、もしも僕が深い修辞学のような質問をされたら、そう例えば「元気?」とか、そしたら僕は実際「良いよ」って答えるさ。バンド仲間に世界の悲惨な状況をレクチャーされることなくね!

ツアー中、最も思い出に残っている経験は?

ツアーで訪れたどの場所も、そこで出会った人たちや、彼らと分かち合った感情によって特徴づけられる。日本の空港で経験したBeatlesタイプの歓迎から、このライブハウスで本当にあってるのかなっていう香港での経験まで。どの瞬間も、本当に特別なものだよ。でも一つピックアップするとしたら、初めて中国本土をツアーしたときかな。あれはクレイジーな経験で、どの瞬間も豊かだった。中国全土を移動しながら、21日間で17公演さ。始まりから、ものすごいツアーだった。影響力のある中国の新聞社が、フロントページにバンドの写真を載せたんだ。中国に足を踏み入れたバンドの中で、最も物議を醸し出すバンドだっていう言葉と一緒にね。それは、アムネスティー・インターナショナルのスポークスパーソンとしての役目と、人権支援活動によるものだった。それが、初めて訪れる国でのイントロダクションだった!

僕らが北京に到着したとき、地元の有権者たちはとても心配していた。多分、Sex Pistols的なサーカスを期待していたんだろうね。とてもシリアスな委員会の人たちが僕らを待っていたよ。けど、少し時間を過ごしてみれば、最後にはビデオや写真を一緒に撮ってくれって頼まれたよ。なんだか現実じゃないみたいだった。中国では、適切なツアー・サーキットなんてないんだ。だから、メジャーなフェスティバルで演奏した以外は、地元のプロモーターたちが、Your Favorite Enemiesのツアールートを築いてくれた。それによって、見た目よりもっと複雑なことを経験した最初のバンドになったってわけ。

でも、このツアーの経験で最も素晴らしかったのは、文字どおり僕らの目の前で、新しい世代が目覚めるのを見たということ。共に集まって、熱く夢を語り合い、自由と平和について分かち合っていた。ほとんどのコンサート・オーガナイザーは若く、友人たちと一緒にライブハウスをオープンしていて、The Rolling Stones, Bob Dylan, the Ramones, Nirvana や Sonic Youth、また同時にクラシック音楽やジャズ、Burroughs, Bukowski や Hemingwayなどを知ったばかりのキッズたちのコミュニティを作り上げていた。このツアーで文化的革命を経験したよ。

そして、革命にいくつかの事件はつきものだから、僕は顎のヒビ、肋骨折、差し歯、腰のヘルニアと顔にタバコの焼け跡がついたまま帰宅したんだ。コンサートをこなしながら、毎晩、傷が増えていったよ。観客に混ざる準備ができているとき、友人を作るのは簡単だ。問題は、ジャンプするのに正しいバルコニーを見つけることと、ボディサーフィン中、ステージ上のバンド仲間からの視覚を失わないこと。このツアーについては、本が書けるくらいだよ。最高に無秩序だったんだ。でも、最も素晴らしいかたちでね。

今の音楽業界で変えられることがあるとしたら、それは何ですか?

それは絶対に皮肉かな。業界中、どのレベルでも漂ってる。多くの人は、音楽がその人の人生を変えたから、音楽ビジネスの世界に入ったんだ。それがフォークでも、パンク、ポストパンク、メタルやポップでもね。けど、広いオフィスの壁に自分のミュージカル・ヒーローと一緒に写る写真を飾った日から、彼らの多くが、もともとの心と魂を捨ててしまっているように感じる。僕にとって皮肉っていうのは、大金を払って、ボノのプライベートジェットの後部座席で、彼が貧困について話しているのを聞くっていう感じ。数秒のうちは面白いんだ。でも、そのうちすぐに笑えない冗談になるのさ。

そして僕は、”新しいテクノロジーが僕らを救う”っていう盲信なんか信じないし、あの頃は良かったっていう音楽の黄金期のために、古めかしい哀歌を聴くこともしない。僕らは飛行機に乗って、終わらない旅のように感じる酷い乱気流に対処してるんだ。デザイナージーンズにこぼしたシャンパンの味について文句を言っている人もいれば、後方でパーティーしている奴らもいる。全ては視点についてだ。そして、自分の信じたもののために、自分にとって意味のあるもののために、どれだけ一生懸命働く覚悟があるか。HMVの店内よりも、IKEAの方が音楽のボリュームが大きいとき、もしかしたら、もう一度夢を見るときなのかも。

オリジナルインタビューを読む(英語)

YOUR FAVORITE ENEMIES「新宿グラムシュタイン」ミニレポート

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

YOUR FAVORITE ENEMIES
『As The Sun Keeps On Rising… So Are The Waves Uplifting Hearts』ミニレポート
2015/11/21 @新宿グラムシュタイン

TEXT & PHOTO:ヨコマキミヨ

以前、本誌BEEASTの特集「Editor’s Note…PASSION Extra Edition」記事にて紹介した、カナダのオルタナティブ・ロックバンドYOUR FAVORITE ENEMIES(以下YFE)が、2年ぶりに来日。11月21日(土)新宿グラムシュタインにて行われたライブ、『As The Sun Keeps On Rising… So Are The Waves Uplifting Hearts』をミニレポートにてお届けしよう。

今回のステージは、来年結成10周年を迎えるにあたり原点に回帰してバンド結成の基礎となった、Alex Foster[アレックス](Vocals)、Ben Lemelin[ベン](Bass)、Sef[セフ](Guitar)の3人による特別編成だ。また、アルバム『Between Illness And Migration』から「LITTLE SISTER」以外の曲を初めて通しで披露。エレクトロ・アコースティックコンサートと銘打たれた内容に、普段6ピースのロックバンドとして活動する彼らが3人でどのようにアレンジしプレイするのかが注目される。

2年ぶりの来日とあって、会場はいつの間にか見動きがとれないほどの超満員となった。これまでにない一夜限りのスペシャルプログラムへの期待の高まりをも象徴するかのようだ。Alex Fosterのマイクスタンドには、いつもなら親日を示す日の丸の旗が着けられているのだが、来日直前11月13日のパリのテロ事件を受け、YFEの住んでいるカナダのモントリオールはフランスとゆかりが深いことから、この日はフランスの国旗が装着されていた。日頃からヒューマニズムに溢れた言動をしているAlex Fosterらしい表現と言えるだろう。

アルバム『Between Illness And Migration』と同様に、けたたましい程の沢山の渡り鳥の鳴き声とギターのフィードバックが折り重なるイントロの「SATSUKI YAMI」からスタート。2011年、東日本大震災の2か月後の来日時、南三陸町ボランティアセンターへの訪問によりインスピレーションを受けて作られたというこの曲は、メンバーにとっても日本のファンにとっても非常に重要な意味を持っている。ステージの照明は薄暗く、まるでパーソナルな空間のシークレットショーのような雰囲気の中、オーディエンスは波に飲まれていくかのように耳を傾ける。

当初、3人編成と伝えられていたが、もう一人のギタリスト、Jeff[ジェフ]も曲によって加わり、曲ごと、更には曲間でもメンバーそれぞれがギター、ベース、ドラム、キーボードと持ち替えたり、入れ替わったりするなどして、斬新な広がりで次々と展開されてゆく。

激しさの中にも憂いを含んだAlex Fosterのボーカルに、時折Alex Fosterが振り刻むシェイカーの繊細なリズム、様々なエフェクトを駆使してバリエーション豊かに音色を使い分けたギターとキーボードが重なり、ノイジーでありながらもアーティステックで迫力あるサウンドが繰り拡げられていった。とりわけ、独特の奏法とディストーションを利かせこだわり抜いた音質を巧みに操るSefのギターは、単にプログレッシヴという一言では片付けられないほど極めて独創的だ。そこにBen LemelinとJeffが入りしっかりと全体をまとめ上げている。

いつもとは違った形態に初めは戸惑いをみせながらも固唾を飲んで聴き入っていたオーディエンスたちも、気が付けば最後には彼らの創り出すエキサイティングな波の渦へと完全に巻き込まれていた。

また今回の試みとして、メンバーが演奏するステージの背景には、YFE日本人スタッフの一人であるKosho制作の、幻想的な世界観を描き出した映像が流されていた。歌詞やアルバム制作時におけるメンバーの感情を基に作られたというその作品は、それぞれ曲ごとに変わり、より一層、心の奥深くの五感に訴えかけるような複雑なイマジネーションの世界へと観客を引き込み魅了した。

普段の6人のバンド編成でも充分に飛び抜けた意外性を持つYFEだが、今回は個々の才能がより際立っているように感じられた。それでも、あうんの呼吸とも言える絶妙に息の合ったパフォーマンスで、それぞれがぶつかり合うことなく上手く融合しているのは、バンドの基礎となるメンバー同士ならではと言えるだろう。

日頃から日本に対して並々ならぬ想いを示しているYFEだが、今回の来日公演も、日本のファンのためだけにと思いもよらない凝った企画で楽しませてくれた。次回の来日も、どんな奇抜でロックなものを聞かせてくれるのか楽しみだ。これからもますます彼らから目が離せない。

BUCKCHERRY / YOUR FAVORITE ENEMIES – 29 NOVEMBRE 2015 – THÉATRE CORONA, MONTRÉAL

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

*この文章はフランス語のみです*

Le rock n roll est-il mort? Voilà un débat qui fait rage parmi les amateurs de musique rock depuis bien des années. Si ce genre musical n’a plus la place de choix qu’il occupait par le passé, il existe encore aujourd’hui quelques défenseurs de l’idéologie rock n roll pure et dure. C’est le cas de Buckcherry qui a démontré que le rock est toujours bien en vie lors de son passage à Montréal le 29 novembre dernier.

C’est le groupe Your Favorite Enemies qui avait le mandat de réchauffer la salle en cette froide soirée de novembre. La formation originaire de Drummondville était plus qu’à la hauteur. Le public montréalais a eu droit à 45 minutes de rock puissant, dynamique et original. Les six musiciens de Your Favorite Enemies avaient une énergie remarquable sur scène qu’ils ont su maintenir tout long de la prestation. La foule en redemandait et il y avait définitivement une connexion entre le groupe et son publique comme on en ressent souvent quand un artiste d’ici qui connait un fort succès international revient jouer chez lui.

Si Your Favorite Enemies étaient intéressants à voir aller sur scène, ils étaient tout aussi agréables à écouter. La musique du groupe est unique en son genre : un rock fort, intense, accrocheur et surtout original. Ils ont su trouver un très bon équilibre entre expérimentation et cohérence stylistique. Les pièces avaient la même signature musicale propre au groupe, mais elles n’étaient jamais redondantes ou ennuyeuses. Ajoutez à ces qualités une exécution impeccable et vous voilà avec une prestation de remarquable.

Contrairement à certains groupes plus vieux qui arpentent le globe depuis 30 ou 40 ans, Buckcherry est capable de livrer une performance solide qui ne trahi pas l’âge des musiciens, mais qui préserve néanmoins l’esprit rock popularisé par les groupes des années 70 et 80. Le public a eu droit à une prestation sans faute de la part de la formation californienne. Toutes les pièces, de Lit Up, hymne rythmé à la gloire de la cocaïne, et Sorry, l’archétype de la power ballad, étaient jouées à la perfection, sans fausse note ou mesure ratée. On peut facilement discerner des influences et des sonorités inspirées de groupes comme Aerosmith et Mötley Crüe dans à peu près toutes les chansons de Buckcherry, mais tout comme Your Favorite Enemies, le quintet américain avait quand même son identité musicale propre. C’est d’ailleurs l’une des grandes forces du groupe, car il est difficile d’avoir son propre style de hard rock sans que le tout ne sonne comme ce qui se fait déjà depuis les trois dernières décennies.

L’atmosphère s’est rapidement réchauffée dès les premières mesures grâce à la présence scénique incroyable de Buckcherry qui allait à merveille avec le dynamisme de leur musique. Le groupe possède non seulement le son typiquement rock, mais aussi l’attitude qui va avec, sans oublier leur look où se côtoient une généreuse quantité de manteaux de cuir, de tatouages en tout genre et de pantalons un peu trop serrés. Leur spectacle a beau avoir eu lieu un dimanche soir, le groupe a tôt fait de faire oublier aux personnes présentes au théâtre Corona qu’elles devaient aller au travail le lendemain matin et que tout ce qui compte, c’est de s’amuser et de faire la fête. « Rock and roll all night, and party every day, » comme on dit. Bref, Buckcherry un incontournable pour tous les nostalgiques qui voudraient revivre l’âge d’or du hard rock sans débourser des centaines de dollars pour un spectacle ordinaire dans un grand amphithéâtre.

Confront誌インタビュー

Written by Your Favorite Enemies. Posted in インタビュー

CONFRONT: 『Between Illness And Migration』のレコーディングプロセスはどのような感じでしたか?

YOUR FAVORITE ENEMIES: 『Between Illness And Migration』のレコーディングプロセス全体を説明するとしたら、“共通の解放を通した自由”っていうのがベストかな。僕らが自分自身に経験させた自由から、真に特徴的な音楽の瞬間をつくりだすことができたんだ。バンド内で分かち合った交流を反映した音楽的瞬間をね。だって同じ部屋に、みんなで一緒に存在してるっていう、その真実性以外全てを手放したんだ。だからこそ、ほとんどの曲が僕らの施設(数年前に買い取った古いカトリック教会をレコーディングスタジオへと改造した)でライヴレコーディングされたんだ。だから、アルバムに収録されている曲は、僕らにとって真実の瞬間なんだ。みんなで一緒に曲を作り始めたところから、最終ミキシングのプロセスまでね。僕ら6人が魂で奏でる音楽を、そのままシンプルに受け入れることにしたんだ。命が溢れていて、未完全で、ボロボロで、夢見がちで、コントロールがきかなくて、時々危なっかしいほどにずれている…その全て、そして多分更に酷い…でも、それでもなお、完全に自由なんだ。僕らが気にかけたのは、それだけだよ。“自分でいる”という勇気、そしてそれによって生まれるだろうものへの勇気。そこから出来上がったものが、『Between Illness And Migration』を引き寄せたんだ。そこから出来上がったものは、6人の心の触れ合いだよ。僕ら以外の人々がどう思うかなんていう疑いや恐れなしにね。重力からの自由さ。

CONFRONT: 過去のアルバムとこのアルバムの違いは何でしょうか?

YFE: アルバム作りのために、僕らのライヴスタジオルームに初めて全員で集まったときに、とても自然に生まれたものは、バンド全体のダイナミックさとグローバルな視野だったと思う。以前僕らが知っていたこと(または知ってるフリをしていたこと)は、“シンガー/ソングライター/セルフプロデューサー/一匹狼/僕が言ったことだけをやれ”ってタイプのアプローチ、または“不安ーコントロール気違いーアンチクライマックス”的アプローチとも呼べるような、無菌に管理されたようなアプローチだったんだ。このクリエイティブな環境を、そんな“自己保存”的な方法で管理しようとすれば、緊張が生まれるに決まってる。それが、全員が楽しめるようなものでも、みんなで一緒に解放できるようなインスピレーションとなるようなものじゃないのは当然だよね。

だから、僕らがかつて黄金に輝く偽物の笑顔で受け入れていた、そのイライラして耐えられないようなプロセスを、“もしも本物なら、それは開花する”ってタイプの“PLAY – REC”っていう昔ながらのインスピレーションに溢れたライヴレコーディングにしたんだ。それは色々な意味で、そしてだからこそ、“Between Illness And Migration”(憂いと変遷の間)が“Between Epiphanies To Every Other Catastrophes”(悟りと他全ての大惨事)って呼ばれてたかもしれない理由さ。その完全に解放するプロセスと、純粋に自由な本質においてね。

CONFRONT: このアルバムレコーディングから学んだことで、次のアルバム制作にも活かしたいことは何ですか?

YFE:もし、僕らが学んだことが一つあるんだとしたら、どこまでひれ伏し、解放できるかっていう個人的なレベルが全てだってことかな。それが全体に共通する交流と究極的に真の音楽の旅を生むんだ。もしも最高にクリエイティブな環境にいるなら、想像力に欠けた感情的交流を、励みとなるような祈りの部屋へと変えることができるはずだなんていう魔法みたいな考えじゃなくてね。そして信じて、僕ら自身の教会にいるという最高にユニークな感覚は、とてもソウルフルで、数日間は興奮が続いた。でも、すぐに気づいたんだよ。インスピレーションに溢れた悟りは、僕らのクリエイティブな環境のスピリチュアルな性質からは生まれないって。それは、互いにどこまで深く関われるかっていう覚悟から生まれたんだ。プロジェクトに対してじゃなくて、僕ら自身の繋がりに対してね。それが神聖な場所なんだ。

CONFRONT: スタジオで出来上がっていく様を最も楽しんだ曲はどれですか?

YFE: 全員で大広間に立って、それぞれが瞬間へと身を任せているのを見ながら、ほとんど全ての曲をライヴレコーディングしたから、全ての曲がとても特別でユニークな方法で生まれたと言える。たいていは、その後にどうそれを受け入れるかってことなんだ。

でも、もしも1曲選ぶんだとしたら、日本盤のアルバムに収録したオリジナルバージョンの「From The City To The Ocean」かな。これは、混乱とまやかしと幻想に満ちた12分の旅なんだ…恐れによる自分の抑制、そして個人的な無垢の喪失。音楽的なサウンドスケープは、解放による安心を待つ、ツイストされた音のめまい。真夜中にレコーディングしたんだ。自らがつくり出した永遠に続く夕暮れを抜けて、僕らが朝の光を見れるように、この曲が導いてくれたように感じた。そしてステンドグラスから差し込む、あの日の朝日は、ただ最高だったよ。

CONFRONT: 自主レーベルを設立するという決断の背景にはどんな思いがあったのですか?また、それはミュージシャンという立場にマイナスな影響を与えたでしょうか?それとも全く逆でしたか?

YFE: プロセスはとてもシンプルだったよ。だって、役人が必要とかっていうのとはかけ離れたもので、僕らはただ自分たちのヴィジョンを自分たちで管理するっていう風に決めただけだからね。僕らは社会の落ちこぼれ集団で、自信なんか全くないまま、同じような音楽の趣味や精神を持った者同士、予測不可能な流れに完全に巻き込まれたんだ。だから、世界中至るところで人々が僕らの音楽を欲しがっていると知ったとき、僕ら自身、急いでオーガナイズしなきゃいけなかったのさ。そして当時、僕らのヴィジョンは代表者たちと共有されなかったから、じゃあ自分たちで責任を持とうって決めたんだ。

大きな代償を支払うような間違いもしたし、悪い決断もしたし、クレイジーなギャンブルにも負けた。でも、アルバムを成功させられないようなダメな仕事をしてるってことで、レーベルの管理を責めるなんていうチャンスもなかった。僕らはプロジェクトの予算を決めた。ロックスター的なライフスタイルには派手すぎることさ!でもね、もちろん良いこともあったよ!

自主レーベルを持ったことで良かったのは、一つ一つのステップが自分たちが強く信じたものでなきゃいけないっていう風であり続けたこと。だって、僕らの尻拭いをしてくれる人はいないからね。僕らが賭けているものが何かを理解していた。だから、もしもプロジェクトに対して“全員”が賛成しなかったら、僕らはシンプルに見過ごすんだ。何かを強く信じているときには、外部のビジネス世界から、それがどんなに奇妙に見えようと、もしくは周りにいる人々の目にとって、どれがどんなに普通の道から外れていようと、最初に持った自分の信念に従って、全力を傾けられるって強く思うんだよ。何も予定通りにはいかない。本当にね。だから、僕らは互いを信じ、固い絆で結ばれる必要があるんだ。だって、僕らにとって、野望を持つことと、ヴィジョンを持つことは全く違うことだから。野望は幻想の笑いとつかの間の活気を生むけど、ヴィジョンを持つことはインスピレーションに溢れる自由を得る。

でも正直に言うと自主レーベルを持つことによって、何よりも先に、毎日親友たちと一緒に働けるっていう素晴らしい特権を得ることができた。だからこそ、異常なほど長時間の仕事や、狂いそうなくらいノンストップに“集中しろ”っていう精神に関わらず、僕らは“Hopeful Tragedy Records”を伝統的な音楽ビジネスの試みとして見ていない。まず第一にコミュニティであり、ユニークなファミリーだ。僕らのほとんどがレーベル設立の初めから一緒にいる。そしてみんなで一緒に作り上げて来たものは、僕らが想像したものや夢見たものを越えたものなんだ。僕ら全員にとって、ここは“家”と呼ぶ場所なんだよ。

CONFRONT: Kerrang誌に“カナダ最大の隠し玉”として掲載されたときの心境は?

YFE: 他人から見た自分を知るのって特別だよね。何ていうか、僕らはただ僕らの“こと”をしてるだけであって、僕らが建前で参加してるビジネス評論家の目を通した”僕ら”になることは、考えてないんだ。だから、こういうことはいつも、ハッピーな出来事として受け取ってるよ。間違わないでね、僕らは別に“こんなのどうってことないよ”みたいな態度をとってるわけじゃないから。でも、僕らは全てを相対的に見ていて、Kerrang誌に載ったことで、僕がこういう雑誌を読んでたときのことを思い出した。昔は、そこに載ってたバンドやアーティストはこの世のものじゃない、神みたいな存在で、触れることを許されないような存在だって思ってたよ。だから、どんなタイプの広告でも、そこに自分たちを見るのはすごく特別だ…恐れ多いって感じの謙遜的な気持ちと、“夢見たことがこんな形で実現するなんてすごいや”っていう感覚が混ざってる。

そして“カナダ最大の隠し玉”って見なされてることは…まぁ、世界中で輝きを放ってる様々なジャンルの素晴らしいカナダ人たちと共に、僕らは本国で知られていないカナディアンアーティストたちのリストの最後だと思う(笑)そして一度でも、イギリスかニューヨーク出身かって迷われないのは、嬉しいよ。大抵、そう思われるからね。

CONFRONT: カナダ以外の国を多くツアーしていますね。ライブをする上で、あなたが最も驚いた都市や国はどこですか?またその理由も教えて下さい。

YFE: 世界中たくさんの素晴らしい国をツアーすることができるのは、本当に恵まれたことだよ。そうやって様々な文化に浸ったときに、たくさん美しいものを見ることができるのも、最高に恵まれてる。訪れた国それぞれに特別な物語があるんだ。特定の場所での素晴らしい思い出があるんだよ。僕にとって、日本、フランス、中国とイギリスは、ここ数年本当に唯一無二の体験をした場所だ。日本はもうずっと僕にとって特別な場所なんだよ。初めてこの国を訪れたときから、僕が思い描く“家”っていう感覚そのものだって感じたんだ。こういう感情的な繋がりを説明するのは難しいよ。僕が深く必要としていたときの、平和と休息の奥深い感覚なんだ。

フランスは、僕が無になって自分を浸せる真にソウルフルな場所だ。詩を書くものとして、または文学やアートジャンキーとしてだけでなく、人々が大好きだからさ。愛は盲目だっていう人もいるかもしれないけど、パリジャンが最高に歓迎的で温かいって思ったのは、もしかしたら僕だけかもしれないね…!何だって?!?もしパリジャンを嫌ってるなら、それはきっと、彼らに暴力的に叫ばれたことがないからだよ。そこにはロマンチックな側面があるんだ。うーん、もう一回叫んでみて…そうさ、君は正しい。”je suis un enfoiré et je suis un sale connard”(僕はくそったれで、薄汚い奴)このアクセントは、僕の魂にとってのミュージックだ…!笑 中国に関しては、ツアーの経験の中でも最も驚くべき経験をしたところだよ。僕らは中国全土を6週間ツアーしたんだ。僕らが初めてのバンド−いや、多分最初の外国人−として訪れた多くの町では、最高に歓迎的で、好奇心旺盛で、寛容でパッションに溢れる人々と出会った。世代や、地域や町に関わらず、人々は夢が変化を起こすパワーを発見していたんだ。若いキッズたちは、素晴らしく熱かったよ。音楽シーンで言うとしたら、1972年か1979年頃のニューヨークかロンドンって感じ。でも少なくとも、その1000倍!本当に正気じゃないほどで、ものすごかったから、僕らのステージでのアプローチやステージ外での人との触れ合い方も、その時から変わったよ。イギー・ポップのステージダイブやそういう狂った感じのジャンプがマイナーなイベントに見えるくらい、僕らがライヴ中に見た光景はすごかった。あれは“これって自殺行為?それとも解放して自由になるってことのもの凄い表現?”ってタイプの異常さだった。

そして色々言ってきた中でも、イギリスは最もロマンチックな場所だよ。僕らが子供の頃聴いて育ち、そして今でも聴いている大好きなバンドのほとんどがイギリス出身っていうだけでなく、僕らにとってロンドンが全ての始まりの場所なんだ。“流行”やクールであるべきものっていうのに関わらず、初めて“ありのまま”で歓迎されたと感じた場所。僕らはただの僕らだった。かなりめちゃくちゃな。それでもなお、僕ら。当時の僕らにとって、それはとても解放的な感覚だったよ。

CONFRONT: 今でもライブをしたいと思う場所は?

YFE: 日本の京都かな。僕らは年に一度、京都の山深い場所に位置する歴史あるお寺でライヴをしてるんだ。国宝に指定されてるお寺だよ。僕らがそこでライヴをした唯一の外国人ってこともそうだけど、この世のものとは思えない、こんな非凡な場所でライヴをするバンドなんて、そういないよね。お寺を管理している家族は、僕らのファンであって、今じゃ本当の家族のような存在なんだ。だから改めて、僕らの音楽と人に置く価値が、交流するのに最も珍しい場所へと導いてくれたよ。

CONFRONT: バンドについてファンが知らないことを一つあげるとしたら?

YFE: 数年前、ミス・イザベルが僕に聖職者の賛美歌を歌って欲しいと説得したことかな。当時、彼女が関わっていた古い学校のゴスペルのプロジェクトだよ。多分、僕のJohn Lydonがおかしく混ざったような、もしくはNick CaveがDon Mclean、Phil OchsやJackson C Frankと出会ったような演出のミックスが、ミス・イザベルにこのプロジェクトを今でも考慮させている理由かもしれないね…笑

CONFRONT: 現在活躍中でも故人でも、もしも一緒にパフォーマンスできるとしたら、どのアーティストが良いですか?またその理由も教えて下さい。

YFE: バンドみんなに共通した選択は、絶対にJoe Strummerだね。主に、彼の音楽が、僕の最も辛い十代の時期を耐えぬくのに勇気をくれたから…そして、僕がライブハウスの2階のバルコニーから迷いもなく観客へとジャンプする主な理由が彼だから。Kurt Cobainも共通の選択になるかな。彼のパッションと完全な解放においてね。でも、もしも一人だけっていうんなら、Nick Caveだな。理由は彼がNick Caveだから。彼のような人は他に誰もいないし、なれない…それだけで僕にとっては十分すぎるほどの理由だよ!!!

CONFRONT: 最近あなたのプレイリストでリピートされているアーティストと、その曲/アルバムを3つあげて下さい。またその理由は?

YFE: Nick Cave And The Bad Seeds – Abattoir Blues

こういうアルバムは、ゆっくりと魂に馴染んでいくタイプの音楽で、やがて自分を人として完全に変えてくれるアルバムだよ。そして何となく、そのカオス、そのノイズ、そのスピリット、その奇妙な囁きと平和な叫びにやみつきになるんだ。

Savages – Silence Yourself

これは最近僕がハマっている音楽だよ。僕が聴きながら育ったような音楽が、新しい情熱と激しさで表現されているのを聴くのは新鮮だよ。ハラハラするようなトーンと寛容なセンスの緊急性もある。シンプルにそうである必要があるんだ。フリをすることなく。そこにあるのは、今日の個性のないつまらない音楽への一撃だよ。

Sonic Youth – Sonic Nurse

僕が生涯大好きなアルバムの一つだ。薄汚れた60年代と Velvet Underground が混ざったようなサウンド。ノイズとサイケっぽいメロディーをユニークな方法で調和させている不協和音なツイスト。そして何よりも、ほとんどのアルバムが個人的なレベルで経験する旅なんだ…それがどんな意味を持っていて、どこへ導こうとね。

CONFRONT: 2014年のYour Favorite Enemiesに、ファンが期待できることは?

YFE: カードはかなりシャッフルされてるよ。というのも、アルバム“Between Illness And Migration”のリリースを、国ごとに発売していくっていうユニークなスケジュールにしたからね。だからとても忙しい1年になる。僕らは今まさにバルセロナにいるんだ。6週間のイギリスプロモツアーに出発する前に、次のシングルのビデオを撮りたくてね。僕らは5週間の中国ツアーに出て、フランス限定で特別なEPも発売する…その全てが、カナダバージョンの“Between Illness And Migration”がリリースされる5月20日までのスケジュールだよ。そしてその後は初めて本国をツアーしてまわる。夏はヨーロッパのフェスティバルに参加し、更に秋には僕ら自身のサーカスを連れてまた戻る。ビタミン剤、アドレナリン注射と輸血バッグが、バンドの“2014年サバイバルキット”の名に上がってるよ(笑)

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